代表コラム

2026.08.06

<コラム>【一蓮托生】Vol.95 タイムシェア別荘の歴史と現在地〜歴史編〜

当社が展開する「ポイントバケーションリロ」は、会員制リゾートという業態の中でも、ポイント制タイムシェアというジャンルに属する商品である。日々、業界の変化を肌で感じながら事業に携わっているが、改めて「タイムシェアとは何か」を整理し直す機会は意外と少ない。今回は原点に立ち返り、タイムシェアという仕組みの歴史と最近の潮流を振り返りながら、当社商品と他社商品との違いについても率直に触れてみたいと思う。

 

 

◆そもそもタイムシェアとは何か
一つのリゾート物件を複数のオーナーで共有し、決められた期間だけ利用できる権利を持つ。これがタイムシェアという仕組みの基本形だ。個人で一棟丸ごと別荘を持つより初期費用を抑えられ、清掃や修繕といった管理はすべて運営会社に任せられる。これが最大の魅力なのだろう。

地方に別荘を持つ方からよく聞くのが、「留守にしている間の劣化が心配だ」「防犯面が不安だ」という声である。タイムシェアであれば、自分が使わない期間は他のオーナーが利用してくれるため、空き家状態にならない。維持管理の手間がかからないなど、個人所有の別荘が抱える悩みをかなり解消してくれる仕組みであることは確実である。

 

 

◆起源はフランスのスキーリゾートから
タイムシェアの起源は1960年代、フランスやスイスのスキーリゾートにあると言われている。「部屋を借りるより、ホテルを買ってしまった方が安い」――この発想が原点だったというから面白い。1960年代後半から70年代にかけてアメリカへ渡り、80年代には日本にも上陸した。以来、99か国・5,000か所以上の施設で展開される一大産業へと育っている。

日本では1988年、東急ハーベストクラブが会員制リゾートの先鞭をつけ、その後リゾートトラストのエクシブ、そして当社が属するリログループのリロバケーションズなど、国内独自のプレーヤーが市場を形成してきた。海外勢では、ヒルトングランドバケーションズやマリオットバケーションクラブの国内展開・リセール市場も定着している。当社が「ポイントバケーションリロ」を世に送り出したのは2000年。今年で事業開始から二十数年が経つが、この間、業界全体の景色も大きく様変わりしたと感じている。

 

 

◆「所有」から「利用」への転換期
ここ数年の業界を眺めていて、私が特に感じる変化は三つある。
一つ目は、契約者の高齢化が進むとともに、リセール市場が徐々に形成されつつある点である。「体力的にもう行けない」「相続する子どもが望んでいない」という理由で会員権を手放したいというオーナーが増えている。特に円安の影響で、海外物件、ハワイのタイムシェアなどは買い手がつかず、二束三文でも売れないという声も耳にするようになった。最近ではリセール専門の仲介会社やマッチングプラットフォームが出始めている。ただし注意しなければならないのは会員権の名義変更には相応の名義変更料がかかる点である。

 

二つ目は、ポイント制・コンドミニアムタイプの支持が広がっていることだ。「決まった週しか使えない」固定週制よりも、必要な分だけポイントを購入して自由に予約できる仕組みの方が、今の暮らし方には合っている。キッチン付きのコンドミニアムタイプは三世代旅行やペット同伴需要とも相性がよく、選ばれる理由の一つになっている。

 

三つ目は、NFTやデジタル技術を組み合わせた新しいオーナーシップモデルの登場である。「資産として売買できる所有権」と「毎年ランダムに宿泊先が決まる会員権」を組み合わせるなど、現代的で面白いが、持続性の面では課題も多く注意が必要である。

 

 

◆主な商品ラインナップ
現在の主なプレーヤーを簡単に整理しておきたい。1988年開業、チケット制を中心とする老舗の東急ハーベストクラブ。所有権型で年間26泊(または13泊)が保証されるエクシブ(リゾートトラスト)。ハワイなど海外リゾートへのアクセスを強みとする外資系のヒルトングランドバケーションズ、マリオットバケーションクラブ。そして当社の「ポイントバケーションリロ」は、2025年1月時点で国内外44施設を持つポイント制タイムシェアである。

 

 

◆"ポイントバケーションリロ"の位置づけ
ここからは、当社商品を軸に、他社と比べたときの立ち位置など整理してみたい。
まず強みとしては、一番の特長はやはり圧倒的な柔軟性にあるのではと考える。入会時に設定した年間ポイントの範囲内で、全国35~44の施設を自由に使い分けられる。固定週制のように「毎年同じ時期しか行けない」という制約がなく、その時々の気分や予定に合わせて行き先・時期を変えられる。

 

次に、初期費用の相対的な安さも挙げておきたい。入会金・会員登録料・印紙代・年会費を合わせて200万円程度から購入できる価格帯は、所有権型のエクシブなどと比べると購入ハードルは低く、「まずは会員制別荘リゾートを試してみたい」という層に適した商品といえる。さらに年間予約なしで確実に利用できる予約確約オプションや、class30という少人数でシェアできる仕組みが用意されており、予約の取りやすさという点では進化が進んでいる。

 

加えて会員権は不動産そのものではなく、権利を所有する形態のため固定資産税がかからないことも特徴である。さらに展開する約20施設ではペット同伴が可能でドッグヴィラもあり、またオーナー本人が不在でも家族や友人だけで宿泊できることも、多忙な現役世代のオーナーにとっては使い勝手のよい設計だと自負している。

 

一方で、最も大きな課題は、利用に重きを置いた設計の為、リセールバリューを期待しにくい点である。この点については次号で詳しく解説する予定だが、過去の歴史からもリゾート会員権やタイムシェア別荘が投資対象(リセールバリュー)として成り立った事例はほぼない。そのため、リセールバリューを売りにする商品には注意が必要だと感じている。

 

次号では、このような視点を踏まえ、リセールバリューと持続可能性の観点からシェア別荘の在り方について考察したい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる