代表コラム

2022.09.15

<コラム>【一蓮托生】Vol.4 観光協会、旅館組合の課題と期待

観光協会、旅館組合の課題と期待

 

間もなく全国版の旅行支援の再開となるようで、各エージェントは現在対応に追われている。思い返せば2020年10月から始まった、ばらまき型の支援策が懐かしい。
異常と言わざるを得ない補填額。普段泊まれないホテルに泊まるべく動く人々の流れに、ホテルや旅館は活況に沸いた。
果たしてこれで良いのだろうか?

 

繰り返しになるが一時的なカンフル剤は、その後の副作用も大きい。
観光支援策などせずとも、人々の余暇に対するニーズの高さはコロナ禍において証明された。にもかかわらずばらまき型の施策が繰り返されることに違和感を覚える。
今後も過度な支援策は、観光産業の衰退を招く劇薬であることを認識してほしい。

 

ここからは、観光協会、旅館組合なるものの現状について私見を述べたい。
観光地ならば必ずと言ってよいほど観光協会や旅館組合なるものが存在する。
それぞれ分けて伝えると、
観光協会は、市町村や町に紐づいている組織で、宿泊施設以外でも観光振興を目的に、様々な情報発信がなされている。(観光地の魅力、お食事処、史跡など)この協会には一定の予算が割り振られ、財源は国や地方自治体の補助金で運用されている。これはいわば形を変えた税金ともいえる。同協会は独立した組織ながら補助金で成り立っているが故に意思決定が弱く、さらに市区町村の上層部と言えばオジサマばかりであり、改革とは無縁の組織かつ、実質放置された団体となる可能性がある。
私たちが、新たに地方のホテルを開業する際は必ずと言ってよい程その地の観光協会を訪れるが、まぁ正直“似たり寄ったり”の印象である。
印象を簡単にお伝えしよう。

 

観光協会は駅などの比較的良い立地に店舗があり、旅行に訪れた方にとっては便利である。一方その施設内に入ると、観光地のパンフやチラシ、壁には立派なポスターが掲示されている。一応興味のある施設のタリフやパンフレットをもらうが、帰宅する際、多くは紙ごみとして処分している。
結論、ただパンフレットの寄せ集めをした“観光協会”では、時代の流れとともに風化していくだろう。このような状態で、実質税金が投下されている観光協会が、これからの時代に必要なのだろうか?日々疑問と違和感を覚える。

 

一方旅館組合は、主に温泉地などで複数ホテルや旅館が軒を連ねる場所において、それぞれの旅館ホテルの規模や売上高に応じて、会費が設定されており、その中で観光振興に関わるものにお金が投下される。昨今SNSの情報が主流になる今、悲しいかな旧態依然と変わらない組織の在り方である。
特に旅館組合は成果を求められるわけではなく、ほぼ変わらないメンバーで構成されている。まして60歳以上高齢者が組合長ともなれば、SNSなど使いこなせないことは火を見るよりも明らかである。(せいぜいフェイスブックでお友達申請が限界)
さらに、予算配分されるのは会合と称した宴会、研修と称した旅行など、観光PRとは無縁の予算配分が多く見受けられ、滑稽である。

必ずしもすべての組合がそうだとは限らないが今後この2つの団体の差が、地域の観光PR力の差に直結する時代になるだろう。
それでは未来志向で、どうすべきかを考えてみた。

 

まず、観光協会と旅館組合に共通する点は、ただ一つ「誘客」である。
個々のホテル旅館、飲食店が世界のマーケットにリーチすることは難しいが、地域が一丸となって、中長期的な視点に立ち、観光PRをすることで何倍も大きな力となる。
私が考える今後の観光協会の活路は、ソーシャルメディアを活用した情報発信の仕掛け人である。ただホームページを創ればいいという時代は既に過去のこと。
インフルエンサーを使ったインスタライブ、女子受けする映えスポットの拡散、ご当地グルメ、推しの聖地巡礼を拡散していくことなどの取り組みも面白い。またYouTubeは世界的にユーザーも多い為、翻訳を付けたPR力はインバウンドへのダイレクトリーチが可能である。
その為には、ぜひ10代後半から20代女性を積極的に活用(登用)してほしい。
社員でなくてもインフルエンサーの登用(依頼)でも構わない。
彼女たちの情報発信力はとてつもない。
私たちが考えもつかないような角度で面白みを見つけ、そしてSNSなどを駆使し発信する力がある。

 

この観光協会の力量により、地域観光の誘客数は差が出てくる時代が到来する。
これまでのアナログ観光協会から、デジタルも活用したブームを巻き起こせる組織となることを期待しています。私たちも町の観光振興を目的に、観光協会への様々な提案を通じて地域の発展に貢献していく考えです。

 

次回は、観光におけるSNSの可能性と活路について綴ってみたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる