SDGs活動報告ブログ

2022.09.09

「鳴子風雅」再生ストーリー

現在全国で36か所の施設を展開する当社が、初めて東北エリアでリブランドを手掛けた施設が

2019年4月にオープンした「鳴子風雅」です。

宮城県鳴子温泉は、日本に存在する11種類の泉質のうち9種類がそろう希少な温泉地であり、

秋湯温泉に続く宮城第二の温泉街として確立していました。

温泉街にはそれぞれの地域ならではの特色がみられるのですが、
鳴子温泉エリアの顧客層は中高年が中心で、地域自体も積極的に若年層を取り込むというよりは

どちらかというと保守的な様子が伺えました。

 

周囲に大規模なホテルや旅館が立ち並ぶ中、中小規模である当施設は、当時周囲の施設と同様に旅行会社頼りの

「待ち」の集客を行っていました。
新たな施策をせずに保守的な集客を続けていくことは、瞬間的な大きなリスクはないものの、

結果としてジリジリと追い詰められ気付いた時には手遅れとなっていることが多く見受けられます。

例に漏れず当施設も原価や人件費の高止まりは続いていき、経営は厳しい状況に陥っていたのです。

 

中小規模の施設は再生が難しく、名乗りをあげる企業はそう多くありません。当施設も例外なく混迷を極めていました。
再生は厳しいだろう、そう誰もが思う状態でした。

 

しかし、私たちは考えました。
“本当に困っているのは地方の中小規模の施設であり、そのような施設を再生させることこそが

私たちの使命なのではないか”と。

 

私たちは施設の再生を決断しました。

 

そこには、東北という地域への支援の想いもありました。
リブランドにより、中高年層だけでなく幅広い年代のお客様に足を運んでいただく。

それによって、エリア自体の活性化を導き長期的繁栄にもつながれば、

わたしたちの基本思想である“地方創生”に貢献できるのでは、と考えたのです。

 

さぁ、ではどうやって施設を再生するか、知恵の絞りどころです。

 

幸いなことにリブランド施設の価格帯は、鳴子ではあまりみられない“高級でも安価でもないミドルクラス”でした。
そのため、まずは客室の改装やお食事の充実感で差別化を図れると確信しました。

 

そして生まれた【鳴子風雅】のコンセプトが“大人の隠れ家”だったのです。

 

周囲の大規模な施設にはない、全24室という中小規模施設だからこそ出来る、

大人がゆっくり過ごせる“静かで落ち着きのある空間”をイメージし創り上げていきます。

 

旅館の良さを残しつつも、スタイリッシュな暖炉を配したライブラリーラウンジ、

そしてレストランのライブキッチンなど都会的なスタイルを随所に取り入れることで、

中高年層はもちろんのこと、ちょっと背伸びをしたい若年層にも来ていただけるような造りを施していきました。

 

そして2019年4月、施設は“大人の隠れ家「鳴子風雅」”としてリブランドオープンいたしました。

 

 

旅館の良さも都会的なスタイルも愉しめる宿として生まれ変わった結果、2019年のオープン時以降、

年々20~30代の利用率がアップするなど客層も広がってきました。
それに加え、嬉しいことに旧施設時代からのリピーターの方も変わらずに足を運んでくださっています。
これは、これまで愛されてきた施設を残した上でリブランドを行うからこそ生まれる結果であり、

ホテル・旅館再生を担うわたしたちにとっては大変喜ばしいことです。

 

そして施設を再生したことによる地域への貢献がもうひとつ、雇用面です。
オープン以来、現地で働く人々も徐々に若年層が増えてきています。地方ならではの問題でもある、

都市部に集中する傾向がある若手労働者を雇用することは、過疎化を防ぐ一端にもなります。

 

施設はオープンしたらそこで終わりではありません。

 

今後も私たちは地域と共生を図りながら施設を育て、地方創生への道を確かなものへと築き上げてまいります。