代表コラム

2024.02.15

<コラム>【一蓮托生】Vol.39 地方の人口減少①~観光業の影響と可能性~

地方での人口減少について、少し触れてみたい。

 

最近よく耳にするのが、「人がいないからホテルを全室稼働できない」という地方のホテル旅館の切実な声。現在地方の人口は年々減少しており、もっとも深刻なのが若者の都市部への流出である。(コロナが収束し、若者の都市部への流出は歯止めが利かない)

 

現在地方の人口は年々減少している。
これは出生率を含めえた少子化の課題だけでなく、日本全体の人口構造が大きな歪みとなっている実情でもある。

 

客観的に見ても、
若年層において、大学は都市部に集中/仕事の機会が多く所得も高い。さらにショッピングやエンタメ、出会いの機会も多い=相対的に若者にとって魅力的である。
また子育て世代では、育児や託児所、持ち家の資産価値など魅力的な点が多い。
さらにシニア層でも、公共交通機関や医療・介護などのサービスも地方より充実している=車がなくても生活できる環境が整っている。

 

政府の人口統計において、今後25年間で秋田県の人口が半減する一方、東京の人口は上昇に転じるという推計は上記状況からしても当然かもしれない。
今後、地方の過疎地がインフラ整備が困難となり限界集落が増えることは“火を見るよりも明らか”である。

 

そんな状況下で大変興味深い自治体があるのでご紹介したい。

 

 

<明石市の9年連続人口増加>

9年連続人口増加している兵庫県明石市である。
さらに出生率は全国平均よりも0.28%と高く全国的にも珍しい自治体である。その主な理由は子育て支援への手厚い政策が寄与している模様。具体的には、子供医療の無償化、第2子以降の保育費の完全無償化、おむつ定期便、中学校の給食費無償、公共施設の利用無料など、他の自治体が高齢者向けサービスを充実する中、当該自治体は子育て支援に割り当てられている。

 

泉前市長の発言を引用してみると、
「子供が増えれば子育て世代の消費は拡大し商店会等は潤う。消費が増えれば出店店舗も増える=地域が活性化」という発想。シンプルながら納得感があった。

 

確かに子供が増えればその世代向けのサービスは確実に増える。
前回のコラムでも触れたが、子育て世代の支出の多くは、当該自治体で支出される一方、比較的消費意欲の低いシニア層の支出は極めて限定的である。(衣食住)
シニア層は、自分の趣味や旅行、さらに孫へのお小遣いなどには支出するが、当該地域での消費額が子育て世代と比較しても低いことは容易に想像がつく。さらに若者世代の消費は、AmazonやNetflixなど海外企業のサービス利用が増加しており、国内消費は増えない悪い流れが続いている。(地域での消費も増えない=人口も増えない)

 

今後地方では特に子育て世代への支援を拡大することが、少子化対策のみならず、地方の人口増加という良い流れが出来てくるのかもしれない。

一方、
異次元の少子化対策と銘打って岸田首相が声高らかに発言されていたことと思い出す。
政策内容を論評するつもりはないが、これを全国一律で実施をすることに違和感を覚える。

 

私は地方の発展こそ日本の発展の前提条件だと確信している一方、日本が現在の状況のまま推移すれば、今後も都市部への人口流出に歯止めが効かない。(インフラ、ライフラインも整った地域に人口が流れるのは自然の摂理)

 

このままでは日本に未来はない。今こそ何かを変えなければならない時期にきている。

 

これらを踏まえ、次号では「地方の人口増加の対策」を私見も交え考えていきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる