代表コラム

2024.03.28

<コラム>【一蓮托生】Vol.42 安心安全な余暇産業の発展へ

当社もあと数日で新年度を迎えることとなる。
当社グループも他のホテル会社と一線を画すポジショニングにより、派手さはないが成長を遂げることができた1年であったかと思う。
決算発表前のため、具体的な情報開示は差し控えるが課題も露呈した格好となった。

 

今期露呈した課題やその取り組み成果について、少し触れていきたい。

 

<今期の取り組み課題と成果>

◆お客様の安心安全確保のための対策強化(最優先事項)
◆デジタルを活用したオペレーション革命(生産性向上へ)
◆自社顧客やSNS運用による成果、CRMから次世代のパーソナライゼーションへの取り組み
◆リゾートに限定した区分所有マンション管理の事業化
◆未利用資産の再活用とリブランドにおける成功率100%
◆投資家(パートナー企業)との関係性に新たな活路

 

今号は、「お客様の安心安全水準の見直し」について触れてみたい。

 

宿泊業は、お客様の大切な命を守ることを前提とし、嬉しい時間を提供することにあると定義する。その場合、滞在中に潜むお客様へのリスクとして以下があげられる。

 

<宿泊業に潜む主な安全性リスク>

◆火災や災害等によるリスク
◆建物の設備不良等による転落等の事故リスク
◆ノロウイルス等の食中毒のリスク
◆レジオネラ属菌の繁殖による感染症のリスク

 

今回は大浴場等によるレジオネラ属菌の繁殖リスクについて深堀してみたい。

 

レジオネラ属菌とは、特に温浴施設等の一定の温度以上で生息する属菌で、適切に消毒をしないと繁殖リスクが高く、その菌を体内に取り込んでしまうと肺炎を悪化させ、最悪死に至らしめる可能性のある危険な感染症である。

 

当社もこれまで60施設ほど運営実績があるが、この分野の安全性には細心の注意を払ってきた。

 

昨年まで1日の残留塩素濃度のチェックは朝、昼 夕方、夜の4回実施しており、他社と比較しても厳しい管理体制だと認識していた。しかしながら、現場で計測している塩素濃度が実態と乖離しているケースが散見されたことは複数回あり、それをきっかけに人任せのアナログ管理では、万一のリスクを担保できないと判断し、さらなる安全性向上を進めるきっかけとなった。

 

具体的に取り組んだのが、「塩素自動測定装置+塩素自動注入装置」の導入である。この仕組みは温泉旅館特有のリスクが回避できるようカスタマイズしており、さらに塩素状況は遠隔監視によりリアルタイムで塩素濃度を本社のリスクマネジメント室が監視している。ちなみにリスクマネジメント室室長は、当社在籍20年の“こわもて室長”で、現場にも常に厳しい監視体制を引いている。(デジタル任せにしない監視体制が重要)

 

既に当社所有施設は導入が完了しているため、今後は委託施設に同システムを提案し、それぞれのパートナー企業にも導入してもらいたいと願っている。これは安全性に勝る優先事項はないとの考えからである。

参考までに、昨年投資した当該設備の合計額は5,000万円を超える。

この仕組みを今後地方のホテルや旅館に提供していくことで、安心安全な余暇産業の発展に貢献していきたいと考えている。

 

※パートナー企業:当社が運営受託している施設の所有企業

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる