代表コラム

2024.04.11

<コラム>【一蓮托生】Vol.43 建物の設備不良等による事故リスク~中古ホテルにおける設備投資~

当社は、中古ホテルや旅館のリブランド&リノベーションを多く手掛けているが、
この中古物件で特に注意が必要なのが、設備不良の施設である。

 

現在稼働している設備は可能な限り使い続けたいが、そうはいかない場合もある。
当社の設備入れ替えの判断基準は、

 

①お客様の安全性に関わるリスクがあるもの(温泉設備、消防設備、転落防止等)
②修理部品の供給が見込めない場合(製造終了等)   である。

 

しかしながら資金力のないホテル旅館の経営では、この設備系への投資が軽視されている。
お客様から見た場合、露天風呂や新たなコンテンツへの投資が優先されている。
(売上向上にダイレクトに寄与できるため)

 

尚、最近多く発生しているのが、EVの入れ替えである。
入れ替えには、1基当たり800万~1,200万程度必要となり、個人経営の旅館などでは二の足を踏んでしまうのは致し方ない。ゼロゼロ融資の終了や金融機関の融資基準の厳格化などもあり、設備投資は一定期間以上経過しているホテル旅館にとって大きな課題となるだろう。

 

過去当社もホテル旅館支援の一環で、他館の設備入れ替えを代理で実施し、毎月割賦方式で返済いただくスキームを数件実施させて頂いたことがある。しかし残念ながら、自前で設備の入れ替えをできない状況のホテルに対し、当社資金を投じた場合、回収の見込みが立たなかったことが数件あった。(過去の反省)

 

今後想定されている工事費の高騰は、ホテル旅館に更なる負担がのしかかるであろう。
現状の設備レベルとサービスで、年々売上(単価、稼働)や利益を向上させていくことは厳しい。

とはいえ、運営母体企業の体力以上の設備投資(借入金の増大)は極めて危険である。

 

私達が考える借入金上限目安は、当該施設の年間売上の100%以内と考える。これ以上の借り入れ(抵当権)は、債務超過寸前といえるだろう。ぜひ金融機関の方々もこの上限ラインを理解すべきである。(特に金融機関は審査基準がおおざっぱすぎることを感じる)

 

例) 年間売上3億のホテル(旅館)→総額の借入金上限3億未満

 

上記水準以上の借入金を抑制しつつ、いかに設備のリプレイスやリブランドを行うかは、世の中のホテル旅館にとって極めて重大な判断を迫られる。

 

是非ホテルの経営をお考えの方は、中長期的な設備入れ替え、定期的なリブランドを織り込んだ資金計画の算定をお勧めしたい。

 

外部視点で診断が欲しい場合など気軽に以下の問い合わせ窓口まで相談してほしい。
法律、会計、金融、不動産、ファシリティマネジメントの専門部隊による診断も可能である。

 

リロバケーションズお問い合わせ窓口

 

次号は、食中毒リスクについて触れていきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる