代表コラム

2024.05.09

<コラム>【一蓮托生】Vol.45 急激な円安がもたらす地方観光の脅威①

先月下旬から急激な円安が進行し、1ドル160円を突破という衝撃的な報道がなされた。

 

その後為替介入(予測)により、1ドル153円まで下落したが、たった1日で157円前後まで円が売り込まれた。また数日後にも恐らく介入がなされたが効果はほぼなかったと思われる。

 

為替介入というのは、これまでいわばカンフル剤として半年程度の効果があったといわれているが、今回の2度にわたる為替介入(予測)の効果は極めて限定的と言わざるを得ない。

 

この状況から見ても今回の急激な円安進行は、いかに円が世界通貨で優位性がないかを露呈する事案となった。

 

私は、国際競争力のない「日本の通貨」を恐れている。
この状況が数年続けば何が起こるか考えてみるだけでも恐怖である。

 

さらに、日本の格差は、今後これまで以上に拡大するのは避けられないであろう。

 

その明確な理由は日本人の多くは資産を日本円で保有しているからである。

 

今後さらに円安が加速すれば現金を保有する方の資産は目減りし、金、有価証券、海外資産を保有している方の資産は、左程減らない。

現金主義である多くの日本人は今後到来するインフレと円安の脅威に対応できないことが考えられる。

 

そして物価上昇率に対し、賃金上昇率が追い付かない今、余暇に充てる資金は減っていく。
さらに海外ツーリストは円安効果で優位性があると考えるとさらに危機感を覚える。
(この状況は日本人の旅行等の余暇が増える余地がない)

 

私がこの業界やこの事業に携わる理由として、

 

「日本全体を豊かにしたいという基本思想がある」
「多くの人々に余暇を増やして頂くことで、豊かな社会生活を送って頂きたい」
「運営に課題のある施設をサポートすることで、廃業等をできる限り減らしたい」
という想いがある。

 

そして、ホテル旅館で今後の時代に対応できるのは、
・資金力のあるホテル旅館(大手資本、海外資本、上場企業体等)
・富裕層をターゲットにした高級路線のホテル旅館(客単価5万以上)
・インバウンドに特化したホテル旅館(京都、日光など特定の立地)
・デジタル活用に優位性のある生産性が高いホテル旅館(少ない人員で運用できる) 等

 

一方、円安に対応しづらいホテル旅館は、
・経営者が個人かつ高齢者
・借入金が施設の年間売上以上ある(年間売上3億の場合、借入金3億を超過)
・資金力がない(特に設備投資ができていない)
・インバウンド需要の獲得ができていない(これはエリアも大きい)
・ミドルレンジ以下の価格帯(富裕層を取り込めない) などが考えられる。

 

この危機的状況に、1人でも多くのホテル旅館経営者は気づいていただきたい。

 

次号以降で、国内全体の影響、そして観光全体の影響、さらに地方観光への影響を整理した上で具体的な防御策などを提言していきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる