代表コラム

2024.06.20

<コラム>【一蓮托生】Vol.48 急激な円安がもたらす地方観光の脅威④

昨今の海外旅行者の動向に触れておきたいが、
現在の海外旅行者が訪れている地域は、ごく一部のエリアに限られている。

 

<インバウンド訪問都道府県ランキング>
1位東京 2位大阪 3位京都 4位北海道 5位福岡・・・

京都と北海道を除いてすべて都市部である。

 

今後、上記都道府県以外の観光地がマーケット拡大するには、インバウンド需要をいかに取り込むかが重要である。残念ながら国内需要は、国内人口の減少、貧困化の傾向から伸びる要素はほぼ無いにも等しいからである。

 

聞き及ぶところでは、箱根の一部の宿泊施設は、日本人より海外ツーリストの予約を優先している施設も増えてきているようだ。その理由は、消費額が日本人と明らかに違う点にある。

 

参考データではあるが、2024年4月のデータでは、

 

<海外からの入国者数> 305万人 2019年比+4%
<日本からの出国者数> 88万人  2019年比-46%

 

直近データが示している通り、円安の影響が多いにあることは紛れもない事実である。
海外からの旅行者はコロナ前水準に戻ったといっても過言ではないが、一方日本人の海外旅行はコロナ前の約半分と驚きのデータである。この傾向は今後も継続することが予想される。

 

東京一極集中の路線(都政)→少子高齢化→さらなる円安の進行→日本人の資産の目減り
これらはまさに、負のスパイラルといっても過言ではない。

 

相対的に、都市部にはあるが地方にないものは「ショッピング/エンタメ」等、
相対的に、地方にはあるが都市部にはないものとしては「歴史的建造物/自然」等があげられる。

 

現在、海外からの旅行者は、歴史的円安の影響で一時的に都市部に流入しているが、この流れは徐々に地方に波及してくると予測する。
本来の観光目的は、風光明媚な四季(自然)や歴史的建造物(神社仏閣等)に触れ合うなどの体験型が世界的に主流だからである。

 

これら本来の観光需要から逆算すると、数年程度で地方に海外からの旅行者が流入してくることは間違いないだろう。ここでもっとも言いたいことは、その時にまでに地方自治体や宿泊施設などの観光地は準備を整えておく必要がある、ということである。

 

先にも述べたが、国内マーケットの縮小は避けて通れない。

観光立国として、海外需要の拡大を想定した場合、今こそ準備を進める必要がある。

 

 

<マーケット拡大に向けた地方の宿泊施設への提言>

 

◆少人数でもサービスやおもてなしができる運営体制(旅館版デジタルトランスフォーメーション)
→効果① 施設における利益率が改善
→効果② 人口減少が著しい地方エリアにおいて人手不足を解消

 

◆旅館版BPOサービスの積極活用
→効果① 遠隔で対応できる部門は外部に委託する(集客、人的関連サービス、管理全般)
→効果② 専門家に依頼することで生産性が向上し、持続可能なホテル運営が見込める

 

◆都市部と地方で国税を中心とする税金の傾斜(地方で暮らす方の優位性を確保)
→効果① 担い手が必要になり、その地域での消費拡大や人口増加につなげていく
→効果② 東京一極集中の是正、及び都心の混雑解消

 

◆ロングバケーション(長期滞在)の推奨

→効果① 1泊2日の旅行ではなく、1週間から1か月程度その地に過ごすことで郷土愛を醸成
→効果② 地方での消費の拡大

 

例えば、一ヶ月以上長期滞在できる環境のひとつとして、昨今シェア型のセカンドハウス(別荘)など、

この種別の商品が世の中に増えている。

コロナ禍で働き方が変わり、リモートワークが一部定着してきているため、オフィスに出勤しなくても仕事ができる環境も後押ししていると思われる。

 

次号ではこの地方における「シェア型セカンドハウス市場」について触れていきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる