代表コラム
2024.09.19
<コラム>【一蓮托生】Vol.54 民泊は普及するのか?②~今後の可能性~
先日インドに出張した際、大きなカルチャーショックを受けた。
2028年までには世界の人口で中国を超え第一位になると推計されているのがインドである。
発展途上国ならではの貧富の差、カースト制度による階級社会など現在の日本では想像もできない実情であった。また人口の約70%程度が貧困層というからさらに驚きであった。
しかしながらこのような状況だからこそ、地位を向上させ繁栄したいと思う人間本来の反骨心が芽生えるのかもしれない。
参考に、インドの14歳以下の若年層が人口の約25%を占め、このうち日本の小・中学生に相当する6歳~14歳の義務教育年齢層が2億2000万人もいるという「若者大国」だ。 労働力人口(15歳~64歳)は9億6000万人に達している。このデータから将来性で更なる発展が期待されるのも理解できる。
ある意味この対局にいるのが現在の日本なのかもしれない。
民泊市場が左程拡大しない要因は前回記載した通りであるが、一方で国内の人口減少に伴い、全国的に空き家の数は増加している。
今年以下記事が日本経済新聞に掲載された。
総務省が30日発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%だった。18年の前回調査から0.2ポイント上昇した。空き家の数も5年間で50万戸増の899万戸と過去最多になった。空き家のうち賃貸・売却用や別荘などを除いた長期にわたって不在で使用目的がない「放置空き家」の割合も0.3ポイント上昇の5.9%となり、36万戸増の385万戸になった。2003年からの20年間で1.8倍に増えた。
放置空き家は建物の劣化が進みやすく、景観の悪化や悪臭・害虫の発生、倒壊の危険といった問題につながる可能性がある。空き家は人口減に歯止めがかからない地方を中心に増加傾向にある。少子高齢化による人口減の影響が出ている。※2024年4月30日 日本経済新聞記事(抜粋)
このように全国平均で約14%相当が空き家となっている実態。特に地方都市はなんと20%近くの住居が空き家となっている。
この要因は少子高齢化に加え、核家族化の進行、高齢者割合の増加、地方都市の人口減少など現在の日本が抱える課題が露呈した格好でもある。
この空き家の再生手法の1つとして民泊新法があるが、前述の通り稼働日数に制限が多いなど市場拡大や形成が進まない。
それではなぜこのような規制が多いのか?
それは住宅新法の前提が「住居」であるからである。
ホテルや旅館簡易宿泊所が営業できる用途地域や都道府県ごとの条例が制定されており住居地域において、営利目的で不特定多数の方を宿泊させる行為は、旅館業法が適用される。
要はホテルや旅館が営業できないエリア(ゾーン)での営利行為は最大限180日に制限された経緯である。
よって住宅新法が180日上限というのは理解できなくもないが、それならば住宅新法ではなく通年営業できるような旅館業法の改正が必要ではないかと思う。
今後国内の空き家は年々増加する。また人口減少も歯止めが利かない。
ならば観光をフックにして海外から人を呼び込み観光産業をさらに育成させていくことは重要な国家戦略である。
その受け皿として、空き家の活用する民泊は極めて有効であると考える。
住居エリアにおける制限の緩和をすることで、本市場は間違いなく拡大する。
結果、国内の観光産業の発展にも寄与でき、また空き家問題解消にも寄与できると期待する。
(生まれは舞鶴市)
事業管掌役員
(ピラティス等)他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる