代表コラム
2024.11.28
<コラム>【一蓮托生】Vol.59 ホテル旅館における生産性の向上②
先述のように、DX導入に際し想定外の事態が起こった。
その要因が、現状のオペレーションを大きく変える仕組みであったことが主な原因と考えている。
具体的な現場の声としては、
「QRコードでのチェックインは、CSの観点で邪道ではないか?」
「顧客との接点が減少してしまうことでCSが下がってしまう」
「そもそも旅館ホテルにデジタルは必要なのか?」
「レストランで飲み物のオーダーを取ることがお客様との会話のきっかけだったのに・・・」
これらはいずれも正しい所見だと思う。
当社が目指すDXとは、社員数の削減ではなく、社員でなくても出来ることはデジタルを活用し、人でなければできないことをさらに強化していくことで、「生産性向上」と「CS向上」の両立を図る狙いである。
参考に当社が今期から導入した取り組みの一部をご紹介したい。
<推しエール制度の導入>
私たちは現地で働く全従業員を対象に「リロ版/推しエール」を導入し、良い接客をしたスタッフにお客様から任意で100円程度のチップを頂き、その全額を当該スタッフに報酬として支給する制度を導入した。(各お客様のモバイルオーダーから、デジタルでチップを渡すことが可能。)
取り組み開始当初は、本取り組みにネガティブだった従業員も多くいたが、
実際お客様から頂くチップ(感謝のしるし)に、自分の接客が評価されたことをモチベーションにするスタッフが日毎に増えてきた。
これまでの宿泊業の課題は、
・お客様からの感謝(評価)は口頭やレイティングでしか取れなかった
・スタッフの労働への対価は、決まった月給+残業のみで成果の見える化が出来ていない
・お客様が入らない方が現地スタッフの負荷はかからないし、報酬も変わらない
これでは観光産業の成長は為し得ない。
これらの課題に向き合うためにも、当社では報酬体系のインセンティブを多彩に用意している。
一例を紹介すると
<インセンティブの仕組み>
・集客に関わるスタッフへKPI達成時のインセンティブ
・ホテルのP/Lで事業計画を超過した場合、超過分の数パーセントを役職者に配分
・お客様からの評価を各個人に支給するインセンティブ(前述のリロ版推しエール制度)
・会社全体が四半期毎に設定する利益目標を達成した場合のインセンティブ
その他30を超える資格支援制度(報奨金)、社員の紹介制度他多数
これらにより、当社従業員の給与水準は同産業で就労される方と比較し、年収ベースで約100万円高い。さらに平均賃金で前年比5%アップを実現しているが、来年はさらにそれを8%程度まで引き上げていく方針を打ち立てている。
結果人財の採用にも一定の優位性がある。(当然更に報酬を高めていく予定)
無駄を排除し、社員の頑張りに対し報酬を“見える化”することは、三方良しに繋がる。
①お客様 ②スタッフ ③会社(株主)
スタッフの頑張りやお客様の評価を“見える化”することは、この業界に必要であり、また給与水準もあげていかなければ、更に就労者は減少の一途をたどる。
DX導入から1年1か月が経過したが、興味深いデータを紹介したい。
<レイティング比較 前年同月比> ※当社全施設のレイティング評価の集計
NPSスコア +6.81pt
Google口コミ +0.22pt
国内OTA口コミ +0.20pt
海外OTA口コミ +0.14pt
結論、DXを導入しても顧客の満足度は低下せず、むしろCS向上に寄与出来ている証明でもある。
CS向上と生産性向上は、当社が構築したデジタルオペレーションのPMSで両立が可能であるとの結論である。
さらに生産性向上では、人件費を中心とする省力化で、年間1.2億円の実質利益を上げた。
これは業界にとって革命といっても良いほどだ。
是非ご興味のあるホテルや旅館の方々は、気軽にお問合せしてほしい。無償で仕組みを共有させて頂きます。
次号では、今年9月から新たに導入したCRMを中心とする「パーソナライゼーション」の仕組みと効果について解説したい。
(生まれは舞鶴市)
事業管掌役員
(ピラティス等)他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる