代表コラム

2024.12.26

<コラム>【一蓮托生】Vol.61 女将からAIへ時代が変わるCRM領域について②

繰り返しになるが、当社はこれまでIT投資を積極化してきた。例えば今回の題材であるCRM以外でも、昨年リゾート会員事業の基幹システムのリプレイスに数億円を投じ、顧客満足度向上を推進してきた。

 

結論から言うと、IT投資を進める理由は、「長期的な優位性(差別化含む)の確保」である。

 

当社が手掛ける施設再生は、老朽化した地方の遊休資産(ホテル/旅館/保養所等)のため、新築供給している大手にはハード面ではかなわない。
よく当社運営はCS面に課題あると揶揄されることがあるが、今期スタートしたコンドミニアムホテルの運営代行(箱根/石垣島)では、新築効果でOTAの口コミ評価はどこも4.5以上をキープしている。
これが意味するもの、それは「短期的にはホテル旅館も新築が優位である」という点。
しかしながら数年たてば新たなホテルが建築され、その優位性は年々低下していく。

 

長期的な視点での優位性を確保するためには、バリューアップや企画力、デジタル化(CS面と生産性)、購買力が欠かせない。
面白いもので、新築主義の企業はIT投資の優先順位が後回しになる傾向がある。
その理由はIT投資をせずとも、施設のハード面で短期的な優位性を確保できるからである。
裏を返せば、IT投資は長期視点/長期繁栄を図り易いとも言える。

 

また、私見ではあるが新規参入のホテル経営者は施設のバリューアップを好み、その成果を誇示する傾向にある。
その理由は単純明快で、ホテルを自身の作品とする自己顕示欲の現れでもあり、結論自己満足にすぎないと言える。
この15年間多くのホテル経営者を見てきたが、失礼を承知の上で申し上げると、倒産や廃業に追い込まれるホテル経営者は「施設のリフォーム」を自賛する風潮がある。そしてこのようなケースは危険な兆候でもある。

 

私は苦境に立たされる多くの経営者を嫌というほど見てきたがゆえ、IT投資の重要性をどこよりも認識している。

 

それでは本題のCRMの取り組み概要の説明に移りたい。

 

<CRM定義>
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略であり、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。顧客情報を管理・分析し、顧客と良好な関係を構築・維持するためのマーケティング手法です。CRMの目的は、顧客一人ひとりに適切なアプローチを行い、LTV(顧客生涯価値)を最大化して企業の利益向上を図ること。

(引用:https://it-trend.jp/crm/article/what-crm)

 

と定義されている。

 

CRMはあくまでデータベースであり、このデータベースをどのように活用していくかが重要ある。

 

先にも触れた「マーケティングクラウド」は、CRMから出てくる情報を欲しい方にダイレクトにお届けできる。そしてパーソナライゼーションは、個人の購買履歴や閲覧履歴によりコンテンツを提供することである。
このCRMは言わば当社の心臓部。人間で言うなら心臓から送り出される血液が、臓器や全身に送りこまれることで生存が可能である。一方、血液が健康でないと体が不調をきたすように、ホテルのCRMも常に最新の情報に記録されていることが極めて重要である。

 

現在、当社は会員制事業のデータベースだけでも50万件以上を保持しており、さらにホテル会員(43万人以上)を含めて約100万件のデータを常に管理/更新している。

 

以下の図にもあるように、自社顧客の育成基盤は整いつつあり、今後は子会社である株式会社リロホテルソリューショズと取引のあるホテルへダイレクト送客を進めていく考えである。

 

実績という点ではこれからではあるものの、1つ事例としてお伝えさせて頂くと、当該仕組みが本格稼働した今年9月以降、各施設の公式からの予約比率(以下、自社比率)は、昨年対比で平均3%~5%上昇しており、今後も更なる上昇が期待できる。

 

私たちが掲げる使命は、「観光領域における課題解決カンパニー」と位置付けている。
自社比率を高める取り組みは、どこのホテル旅館にとっても重点課題である。

 

この取り組みを単体のホテル旅館で推進することは資金面や体力面で厳しい。
だからこそ私たちの機能を世の中へ広め、全国のホテル旅館の手助けとなりたい。
※ご相談等は「株式会社リロホテルソリューションズ」まで。

 

来年以降も「人類にもっと“旅”が増える」よう、世の中のホテル旅館の課題解決を進め、同産業の発展に貢献していきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる