代表コラム

2025.01.23

<コラム>【一蓮托生】Vol.62 ホテル旅館業界のSDGsは進むのか?

サスティナブル・ディベロップメント・ゴールズが叫ばれるようになり久しいが、既存のホテル旅館においてSDGsが進んでいるとは言い難い。その背景には何があるのか?考察してみたい。

 

<SDGsが進まない理由>
・熱源等の大型設備の入れ替えには多額の設備投資が必要である(例:重油→ヒートポンプ)
・設備投資の多くは、客室のリノベーション工事など短期的に売上に直結されるものが優先される
・経営層の高齢化により追加の融資は受けづらい(特に個人経営)
・料飲部門において、食材廃棄ゼロへの取り組みに比較的消極的
・脱プラなどの備品は、汎用品と比較し仕入れコストが高い

そこで、この業界が取り組める可能性のある項目を整理してみた。

 

2「飢餓をゼロに」 → 食材廃棄ゼロ、WFPへの寄付(貢献)
5「ジェンダー平等を実現しよう」 → 採用、利用者制限
7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」 → 脱炭素(脱重油)、クリーンエネルギー
8「働きがいも経済成長も」 → 健康優良法人等の認可、デジタルを活用した省力化等
9「産業と技術革新の基盤を創ろう」 → 地域活性化と観光資源の再活用
12「つくる責任、つかう責任」 → 新築主義の排除 森林保護、クリーンエネルギー
14「海の豊かさを守ろう」 → 脱プラ、敷地内浄化槽の整備
15「陸の豊かさを守ろう」 → 森林保護、野菜、大豆など植物系食材の活用

 

ざっと取り組み可能な項目を列挙してみたが、一部の簡単なものを除き、単体の宿で取り組むには限界がある。例えば7項の「エネルギーのクリーン」についても、従来の重油(灯油)から、ヒートポンプやガスに変更するだけで億単位の設備投資が必要とされる。

 

個人経営が多い同業界のSDGs推進には、政府自治体の大きな支援が必要であろう。過去のコロナ融資や付加価値交付金は、使用用途は限られていなかったが、今後はSDGsに則した設備投資への限定的な補助金は効果的と考える。(現在も太陽光設備、ヒートポンプなどのクリーンエネルギー、断熱効果の高い投資など一部制度はある)

 

当社も2019年頃から同分野の取り組みを積極化し、これまで5億円以上の設備投資を行ってきた。

 

直近では広島県竹原市にある賀茂川荘で、完全クリーンエネルギー化に向け工事を実施中である。
過去取り組んできた脱炭素への取り組みも、決して平坦な道のりではなかった。
今後導入検討をされている施設様があれば、過去事例(注意点や効果検証など)も含めて示していくことが、地域観光の成長や活性化に繋がっていくと考える。

施設の水道光熱費の低減やクリーンエネルギー促進を図り、脱炭素に関するリテラシーの高い欧米からのツーリストを呼び込むことは、利益率の改善と併せて、地域活性化の重要なロードマップとなるであろう。

 

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる