代表コラム

2026.04.23

<コラム>【一蓮托生】Vol.90 観光業の新卒採用と私たちが描く未来予想図

はじめに


インバウンド需要が急回復するなか、観光・宿泊業界は今、かつてない活況と、かつてない人手不足という矛盾した状況に直面しています。「部屋は満室なのに、スタッフが足りない」——。そんな声が全国の宿泊施設から聞こえてくる現状は、業界構造が抱える課題を端的に表しています。
この背景を踏まえ、本コラムでは観光業における新卒採用の動向を整理するとともに、リロバケーションズが歩んできた道とこれからの戦略について、私自身の言葉でお伝えしたいと思います。

 

 

観光業における新卒採用の現状と動向


■ 回復する業績、追いつかない人材確保
コロナ禍で大きく落ち込んだ宿泊・観光業界の業績は、インバウンドの急回復を追い風に、目覚ましい勢いで復活を遂げています。訪日外国人数はコロナ前の水準を超え、政府は2030年のインバウンド目標を6,000万人と設定しています。
しかし、業績回復の裏には深刻な構造問題が潜んでいます。コロナ禍での人員削減・雇用調整によって業界を離れた人材の多くが、いまだ帰ってきていないのです。帝国データバンクの調査(2023年4月)では、宿泊業の約6割の企業が「コロナ前から従業員数が減少し、戻っていない」と回答しています。

 

 

■ 新卒採用市場の変化
少子化の影響により、大学卒業予定者数は減少傾向が続いており、企業の採用ニーズと学生数のバランスが崩れつつあります。このなかで、新卒採用を巡る企業間競争はかつてなく激しくなっています。
学生の「企業選びの基準」も大きく変わりました。給与や企業知名度よりも、「働き方」「職場の雰囲気」「成長できる環境」を重視する傾向が強まっています。ホテル・宿泊業界は、勤務時間の不規則さや給与水準の低さから敬遠されてきた歴史がありますが、近年ではインバウンド対応の最前線として「グローバルな経験が積める職場」という魅力も再評価されています。

 

 

■ 観光業の新卒採用 主要トレンド
① 採用競争の激化:人口減少による学生数の減少で、業界内での採用競争が熾烈に
② 就活の早期化:大学3年生夏前から採用広報をスタートする企業が増加
③ 価値観の変化:「やりがい・成長環境・働き方」を重視する学生が増加
④ インバウンド需要:多言語・多文化対応スキルを持つ人材への需要拡大
⑤ 地方回帰:地域創生・ローカル観光への関心が高まり、地方施設への入社志望者が増加

 

 

■ 業界が抱える採用の構造課題
厚生労働省の統計によると、宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は269,500円※と全産業で最も低い水準にあり、有給休暇取得率50.7%※も最低水準です。このような労働条件が若年層の敬遠につながり、業界全体の採用力を弱めてきた側面は否定できません。
※令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html)
※年次有給休 暇の取得 率等の推 移(業種別 )https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001691998.pdf

 

一方でポジティブな変化もあります。「お客様の喜びが直接感じられる仕事」「多彩なキャリアパス」「リゾート地で働く充実感」といった観光業ならではの魅力が、Z世代の「体験重視」「意味のある仕事への志向」と合致し始めています。採用市場における観光業の位置づけは、確実に変わってきています。

 

 

当社の強みと差別化


■ 私たちの立ち位置
リロバケーションズは、東証プライム上場リログループの100%子会社として、2004年の設立以来、会員制リゾート事業・ホテル運営事業・ホテル総合支援サービス事業の3本柱でビジネスを展開してきました。現在、全国40か所以上の施設を展開し、「泊まる場所」ではなく「集まる場所」という新たな価値の創造に取り組んでいます。

 

 

■ 私たちの強み
◆ リロクラブの1,000万人規模の会員ネットワーク
リログループが保有する1,000万人超の法人・個人会員ネットワークは、他社には簡単に真似できない圧倒的な強みです。このネットワークを活用した送客力により、施設の稼働率を安定的に高めることができます。「メルヴェール箱根強羅」では、この独自の送客ネットワークにより平日稼働率を大幅に改善し、1億円近い赤字から黒字化を実現しました。

 

 

◆ 90日での黒字化——ホテル再生のプロフェッショナル
「赤字ホテル・旅館を90日で黒字化する」——これが私たちの揺るぎないミッションです。従業員の意識改革・CS改革・集客改革という3つのアプローチを組み合わせた独自の再生メソッドは、現場運営を通じて磨き続けてきたものです。この再生ノウハウの蓄積は、競合他社にない強固な差別化要素となっています。

 

 

◆ ポイント制タイムシェア別荘という独自モデル
「使う分だけ別荘を所有する」というポイント制タイムシェアの仕組みは、日本初のサービスとして展開してきたものです。車1台分の購入コストで、全国40か所以上のリゾートを一生涯利用できるこのモデルは、核家族化・少子化が進む現代において「家族の絆を育む場所」としての価値を持ちます。平均100㎡を超えるコンドミニアム型の広いお部屋で、3世代が一緒に過ごせる——こうした体験価値は、一般のホテルでは得がたいものです。

 

 

◆ ホテル総合支援サービスによる地方創生への貢献
子会社リロホテルソリューションズを通じた集客コンサル・支配人派遣・OTA送客支援・SEO対策など、宿泊施設の経営改善を包括的にサポートする体制は、旅館業界全体のDX化・生産性向上にも貢献するものです。ホテルオペレーターとしての実績を母体に持つことで、「現場がわかるコンサルティング」という信頼感も強みのひとつです。

 

 

当社の取り組み重点課題


■ 認知度と採用ブランドの向上
大手ホテルチェーンやリゾートホテルと比較すると、リロバケーションズという名前の認知度はまだ十分ではありません。多彩なビジネスモデルと社会的意義のある仕事内容を持ちながら、就活生への発信力・ブランド力の強化が依然として課題です。「知られていない」ことで、本来出会えるはずの優秀な学生を逃してしまっているとしたら、それは大きな機会損失です。

 

 

■ 労働環境・処遇の改善
業界全体の課題でもある給与水準・休日取得・シフトの不規則さといった労働環境の問題は、私たちも例外ではありません。特に若い世代がワークライフバランスを重視するなかで、観光・宿泊業での働き方を魅力的に見せるためには、制度的な改革と文化の変革が必要です。また健康経営優良企業4年連続認定は大きな実績といえます。
育児休暇の男性取得促進やメンター制度の導入など、一歩ずつ改善を重ねていますが、業界標準を超えていく意気込みでさらなる取り組みを推進していきます。

 

 

■ DX・デジタル人材の確保
旅館業界は「30年以上生産性が向上していない」とも言われており、その最大の理由がDX推進人材の不足です。OTA活用・SNS戦略・SEO対策・データ分析——デジタルを武器にした集客・運営改革は急務ですが、そのための人材獲得競争は業界を超えて激化しています。観光業の魅力とデジタルスキルを掛け合わせた人材育成が、中長期の競争力を左右します。

 

 

採用戦略と私が若い世代に伝えたいこと


■ 「やりたいと手を上げる人に舞台を与える」
私は社員に対し、常にこう言っています。「やりたいことがあれば、どんどんアピールしてください」と。リロバケーションズでは、未来創造ファンドによる新規事業公募制度や、3年目以降に応募できるグループ内公募制度を設け、若手が自らキャリアを切り拓ける環境を整えています。
観光業は「サービスを提供する仕事」と思われがちですが、実際には事業企画・マーケティング・法人営業・IT・人事・地方創生——あらゆるビジネス機能が内包された産業です。ひとつの施設がひとつの会社のように機能し、若いうちから経営的な視点を持つ機会に恵まれるのが、この業界の醍醐味だと私は考えています。

 

 

■ 人口減少時代だからこそ、「集まる場所」が必要だ
核家族化・少子高齢化が進む現代において、「家族や大切な人たちが集まれる場所」の価値はますます高まっています。私たちが提供するリゾートは、単なる宿泊施設ではなく、人と人の絆をつなぐ「第二の我が家」です。その事業に携わることは、社会的意義のある仕事に取り組むことでもあります。
就職活動中の学生の皆さんに伝えたいのは、「業界の知名度やブランドではなく、その会社で何ができるか・何に挑戦できるかで選んでほしい」ということです。私たちリロバケーションズには、まだ多くの「余白」があります。その余白を埋める挑戦者を、私は心から待っています。

 

 

最後に


観光業はコロナという試練を乗り越え、新たなステージへと進んでいます。インバウンドの追い風を受けながらも、人手不足・デジタル化・労働環境改善という課題に向き合い続けることが求められています。
リロバケーションズは、その課題の真っ只中で、地方創生・ホテル再生・家族の絆の創出という社会的価値を追い求めてきました。これからも、私たちと一緒に「集まる場所」の未来を創ってくれる仲間を、業界の内外から積極的に招き入れていきたいと思っています。上場企業の安定の中で、ベンチャー精神、起業家経験も積める舞台があります。

 

 

これからも地方から日本を元気にしたい!
日本の魅力は地方にあり!

 

 

こんな方針に共感いただける方は、ぜひ当社セミナーにご参加いただきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる