代表コラム

2026.06.25

<コラム>【一蓮托生】Vol.93 空き家問題=地方創生への活路──簡易宿所営業という選択

全国の空き家が900万戸を超えた──
このニュースを、皆さんはどう受け止めただろうか。「社会問題」として片付けるのは簡単だ。
しかし私たちRVグループが注目するのは、この数字が今後の日本経済にどのような変化をもたらすのかという点である。今回はその論点で少し綴ってみたい。

 

総務省が公表した最新の住宅・土地統計調査によれば、2023年10月時点の全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最高を更新した。(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

1993年からの30年間で、実に2倍に膨らんだ計算になる。野村総合研究所の予測では、この数字は10年後の2033年には18.3%、20年後の2043年には25%前後まで上昇する見通しだという。誰も望んでいないのに、空き家は静かに、しかし確実に増え続けている。

 

ここに、「簡易宿所営業」という制度の意味がある。旅館業法上、客室数ではなく定員制で運用でき、最低床面積基準も旅館・ホテル営業より緩やかなこの制度は、古民家や空き家を「壊さず活かす」という当社の再生哲学と、これ以上ないほど相性が良い。住宅宿泊事業法のような年間180日の上限もなく、通年で安定的に稼働できる。

大きな建替えを必要としないからこそ、初期投資を抑えながら複数物件を地域単位で面的に展開する──

私たちが掲げる「ステイVILLA構想」のような地方分散モデルとも、自然に重なってくる。

 

もちろん、現場はそう単純ではない。自治体ごとに条例や運用の解釈が異なり、許可取得までに想定以上の時間がかかることもある。古民家特有の土壁・木造軸組の構造では、消防・防火設備への対応コストが予想を超えることもある。過疎地域では清掃や緊急対応を担う人材の確保もたやすくない。正直に言えば、「簡易宿泊」という名称から、低価格・低品質を連想されてしまう壁も、まだ存在している。

 

空き家を、社会課題を 地方創生の資産に変える取り組み

それでも、私はこの数字を悲観していない。インバウンド需要が地方へと分散し、「暮らすように泊まる」体験型の宿泊が求められる今だからこそ、空き家という資産は、これまで以上に価値を持つはずだ。自治体の空き家バンクとの連携や、スマートロックによる省人化運営──

一棟一棟を点として再生するのではなく、地域ぐるみで面として連携させることも可能である。

 

新設住宅着工戸数は2040年度には58万戸へと減少すると推計されている。

住宅をつくる時代から、今あるもの(住宅)を活かす時代へ。
その転換点に、私たちは立っている。

 

これらの社会課題の解決には、当社のような大資本企業だけでなく、新たな発想と機動力を持つ経営者の力にも期待したい。次号では、こうした課題の改善に挑みながら、人類に豊かな時間や癒しの時間を提供したいと志す若い経営者についても取り上げてみたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる