代表コラム

2022.10.13

<コラム>【一蓮托生】Vol.6 観光における集客の歴史とSNS集客の可能性 ~後編~

観光における集客の歴史とSNS集客の可能性 ~後編~

 

<SNSとの出会い>
恥ずかしながら、私が画像や動画を投稿するインスタグラムなどのSNSを知るきっかけとなったのは、確か5年前、会議の場で女性社員から「インスタ」と「映え」という発言があったことからでした。そして私はこう質問した。

 

「『インスタ』『映え』って何? どういう意味?」

 

私と同世代以上の方なら、なんとなく共感いただけるのではないでしょうか?

 

それまでフェイスブックで高校や大学時代の友人と繋がることがSNSだと認識していたことが、今思うと赤面してしまいそうである。

 

当初私は、写真や動画をネットに挙げて何が面白いのか??とやや批判的であったが、それから5年が経過しホテルマーケティングにSNSは欠かせない重要戦略となっている。施設のPRだけに関わらず、宿泊予約の導線に変化が出てきているのだ。

 

前編でも触れたが、昭和平成前半までは、大手旅行代理店(リアルエージェント)に足しげく通い、対面で予約していた時代から、OTAと言われるネット系エージェントが主流となっていった。(ネットで予約を取る時代)
さらに現在の状況は、国内主力のOTAは軒並み取扱高が伸び悩み、そして旅行全体のシェアを落としているのが現状である。

 

これが意味することは何か?

 

結論、SNSをフックにしたダイレクト予約の増加である。

 

これまで代理店に売上の10%~15%程度支払っていた手数料を、自社のダイレクト集客の為に使っているお宿が徐々に増加してきているのだ。
ロジックは至って簡単。仮に年間売上2億円のお宿なら、これまで年間2,000万から3,000万を送客してくれた代理店に手数料として支払っていたが、このうちの一部に予算を割り当て、SNSなどのPRに予算を割り振ってきているという構図である。

 

<優勝劣敗が鮮明に>
これまでと変わらずエージェント依存のホテルと、独自のSNSやPR戦略を行っているホテルでは、今後10年で天と地の開きが出てくることは鮮明である。
なぜならこの取り組みは一朝一夕にはいかない。1つ1つ、1日1日積み上げていかねばならない、なんとも地道な作業である。

 

ここで大きな課題となるのが、国内の宿泊施設の約93.1%が資本金5,000万円未満の中小企業である点。継続的なSNSの研究や外部のベンダーに業務委託するなど、大きな費用が継続的に必要である。
現在地方の旅館ホテルは、昨今のコロナ禍で金融機関等からの借入金が増加し、与信が厳しくなり、金融機関からの追加融資が厳しくなっている。さらに現場で優先されるのは、施設の設備機器の更新や、日常的な修繕、さらに露天風呂付客室などに投資するバリューアップである。

 

もちろん従業員にSNS対応(研究)をさせることも可能だが、残念ながら地方になればなるほど、SNSに長けた若い人財の確保が厳しいのも現状である。

 

とは言うものの、ここで諦めては中長期的なお宿の自力をつけることは重要課題であるため、今後は各お宿がSNSの重要性を認識し、未着手のお宿があればぜひスタートしてほしい。インスタやTwitterの公式サイトの開設からでよい。徐々に慣れてくれば、「フォロワー数」、「保存率」、「リーチ数」、「ホーム率」などをKPIとし、さらにノウハウを積み上げていってもらえれば良いと思う。

 

ハッシュタグ(#)からの導線、自社の施設に絡むストーリーズなどの転載許可などもすぐにできる有効な手立てである。

 

このようにあらゆる手立てを講じながら長期的視点に立った取り組みをスタートさせるべきである。なお、丸投げによるSNSのコンサル会社への委託は、個人的にはお勧めしない。理由は単純。自力がつかないだけでなく、お宿側が無知であればコンサル会社に都合の良い相手となるリスクを秘めているからである。(そういう会社ばかりではないと思うが)

 

贅沢を言うなら、コメントなどは英語も併記させておきたい。
(グーグルなどの翻訳機能もあるので、併記は容易である。)
今後、海外ツーリストのダイレクト予約も増やしていくためである。

 

<10年後の観光マーケット>
10年後の観光マーケットを、独自に予測しよう。

 

◇SNS、グーグルの情報をもとに、ダイレクトに宿を選ぶ時代に突入
→またグーグルなどビックデータを持つ企業が旅行代理店に参入
→それに伴い国内OTA市場は減少の一途を辿る
→各OTA取扱高が減少すると、各社は手数料の値上げと広告費を収益モデルの柱に変更を余儀なくされる。(広告費を支払ったホテルを優遇するという手法)
→自力のないホテルは、さらに収益性が悪化する。

 

このような流れになるのではないかと予測している。
ここで重要となるのがSNSを活用したPRと集客の連動だろう。

 

<インフルエンサーの活用>
インフルエンサーの活用は今後大きな可能性がある。
参考に、当社の営業推進部門では、今年からSNS専門チームを立ち上げ、日々研究を積み重ねている。投稿のリール動画などを駆使し、時には自身がモデルとしてライブ配信に登場したり、インスタグラマーの起用、YouTubeによる拡散なども進めており、徐々にノウハウが積みあがってきている。
SNS市場は今後世界の広告市場をも席巻するといわれている。この分野の実力により、各旅館ホテルの差が大きくなることは火を見るよりも明らか。

 

今後も私たちSNSの研究成果などもこのコラムで紹介していこうと思う。

 

次号
「バブル崩壊後のリゾートマンション投機と現状について」綴ってみたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる