代表コラム

2022.11.24

<コラム>【一蓮托生】Vol.9 令和版分譲コンドミニアムホテルの可能性①

令和版分譲コンドミニアムホテルの可能性①

 

前回のコラムでも触れたが、分譲コンドミニアムホテルの歴史は古いながら、空白の30年がある。しかしながらここ数年沖縄を中心に複数のコンドミニアムホテルが分譲されており、どれも完売している状況のようだ。(少し驚きもある)

 

今年6月に視察も兼ねて、サンフロンティア不動産が手掛けた「HIYORI沖縄」に宿泊させていただいたが、その完成度の高さに驚かされた。専有面積は50㎡程度ながら、居住性に優れ長期滞在も可能だし、短期旅行でもゴージャスな時間が楽しめそうな設えになっていた。
また、ハンドドリップコーヒーが楽しめるなど運営会社の工夫が随所に見られ、利用者目線でも、所有目線でもとてもステイタスを感じることができるだろう。さらに、通常の沖縄のナショナルブランドホテルよりも優位性があると感じた。

 

この仕組みについて、簡単にまとめてみた。

 

<令和版コンドミニアムホテルの特徴>
◇ 専有面積は50㎡~70㎡程度で、通常の分譲マンションよりは小ぶりである
◇ 家具類も売価に含まれている。また将来に交換費用も積立金で賄える。(将来投資なし)
◇ 室内にオーナーズロッカーが設置されており、私物を保管できる(生もの以外)
◇ 自分が使うとき以外は、ホテル運営会社に貸出し運用委託し、収益を得られる
仮に365日運用した場合、約4%の表面利回りとなる
事例 購入金額8,000万 × 4% =320万/年が購入者に配分
◇将来的に売却することもでき、運営収支が改善していれば、購入時より高く売れる可能性がある(キャピタルゲインが狙える)

 

令和版コンドミニアムホテルを総括すると、
別荘所有+使わない日を運用+ハイスペックによる優位性
資産価値を維持しつつ、別荘所有のステイタス感をえられるものと推測する。

 

通常ホテルを新築した場合、坪当たりの建築費は300万/坪程度と言われている。(現在はもう少し上がっている話も耳にするが。。)
仮に延床3,000坪のホテルを建てる場合の建築コスト等は90億である。この巨額を1社で賄うことが出来るのは、極めてキャッシュリッチな企業か上場の投資ファンドなどに限られる。

 

しかしながら、当該規模を分譲コンドミニアムホテルにした場合は、投資金額を短期的に回収できるため、極めて資金回転率に優れている。(投下資金は1年程度で回収できる。)
一方、ホテルの場合は、金融機関からの借り入れに依存するため、運営収入の一部を借入金金利と元本返済に充当する。<返済期間は一般的に20年程度>
順調に運営が継続できればよいが、現在のようなパンデミック、原価高騰など想定外の事態が起こった場合に脆弱さが露呈する。(20年後の世界など誰も予想がつかない時代)

 

この点において資金回転率に優れており、事業の採算性の見通しが立ちやすいのが分譲コンドミニアムホテルの利点であろう。

 

この形態は、今回分譲されている箱根の動向にもよるが、同分野への参入が増えることが予想されるが、ここで問題となるのが、分譲後の運営会社だと言われている。(担い手が限られる)

 

世の中のホテル運営会社のファイナンス力は総じて低いと言われている。理由は運営の請負だけなら、資金力を必要としない為である。業界にいるとよく耳にするのが、委託していた運営会社が倒産した、また運営会社に夜逃げされたなど、実は日常茶飯事なのがこの業界の“裏常識”である。

 

資金力のある運営会社は自分でホテルを作りそれを運営できる。そうでない運営会社は、他人のホテルを運営させてもらい、利益の一部を得るというのが通常である。

 

私たちも一部のホテルは委託で運営を請け負うが、相手先はかなり厳選する。

 

リソースも実力もない新規参入した事業者は、理想論だけを掲げてホテルオーナーになりたがるケースが多いが、「思想なき経営は破綻する」と言われるように、何のためにホテルオーナーになるのか?この「なぜ」をよく考えてから経営されることをお勧めしたい。

 

話はもとに戻るが、

この分譲コンドミニアムホテルの運営者の絶対条件は、ファイナンス力を有した企業に限られる。その理由は分譲後の運営は10年以上続き途中で破綻されては、分譲オーナーに多大な損害を与えることとなる。故に運営会社の選定にはどうも苦慮しているようだ。先ほども触れたが、資金力のある企業は自前でホテルを購入(建築)できるゆえ、ファイナンス力のある企業は、この種の案件を受託する可能性は低いのが現実である。

 

次回は、箱根の分譲コンドミニアムホテルの具体的な実態と裏事情に迫りたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる