代表コラム
2023.04.13
<コラム>【一蓮托生】Vol.18 地域活性化モデルへの挑戦②
<地域活性化モデルへの挑戦②>
当社の2002年の創業事業は、タイムシェアを用いたリゾート会員権の分野であった。その後2009年のリーマンショックを契機に、地方のホテル旅館に特化したターンアラウンドを事業領域として過去60か所以上のホテル再生に携わってきた。
しかしながら、私は少しずつジレンマに苛まれてきたのも事実である。
そのジレンマとは、地域創生を謳っている私たちがエリアにおけるマーケットボリュームの拡大(向上)に寄与できていない点である。既に一定以上のマーケットボリュームを有するエリアの出店は、差別化と競争力強化が主軸になってしまい、主眼とするマーケットの拡大には然程貢献できていないと考える。
例えば箱根や熱海のようなエリアは、新規出店はあるもののマーケットボリュームの大幅な改善がないが故、その裏で煽りを受け窮地に追い込まれるホテルや旅館が存在する。この状況は大手スーパーの出店により、商店街がシャッター街となる様と近しい印象を受ける。私たちは大型スーパーの出店方式で、根こそぎ現存の顧客を奪い取るという粗手な手法はカルチャーとしていない。
先にも触れたが、地域創生とは、産業の育成⇒雇用を創出⇒住民の定着結果、都市部への一極集中を緩和、さらには少子高齢化改善への一助となることではないかと思う。
その為には、観光産業に従事する母数を増やさない限り産業の発展はない。
例えば当社は今期から、年間休日を111日から120日に増やし、また観光従事者に珍しい7連休×2回の推奨(いずれ義務化)も決断し、さらに定期昇給、特別賞与も継続的に実施する。
更に言えば、現在の政府の補助金ばらまき型の施策では、絶対に地域は活性化されない。
むしろ、補助金目当てのコバンザメが増えるだけで、自主自立が阻害され弱体化へと導いてしまうことは火を見るよりも明らかである。(雇用なども増える余地もない。)
大型スーパーの出店的な戦術は、開発が得意な会社に任せ、私たちは今あるものを活かしつつ、さらに誰もやりたがらない、マーケットボリューム拡大を進めていきたいと考える。
そのテストケースが島根県の山間にある津和野モデルである。
時系列で説明すると、
・当該エリアは過去20か所以上の宿泊施設があったが現在は激減し2か所のみ。
・その内1か所は唯一温泉を有する「わた屋旅館」だったが後継者問題により廃業なども視野。
・上記施設を当社が取得し、ホテルの再生が本格化したのが昨年の7月である。
・単にリノベーションをしてもマーケットボリュームは増えない。
・ならば自治体も巻き込み、旅館を地域の観光PR拠点としての役割が担えないかと思案。
そこで出たテーマが「時代(とき)をめぐる温泉宿」とし、日本遺産に指定されている津和野百景図と今をつなぎ合わせ、ときをめぐることができる温泉宿をコンセプトに設定。
現地には、津和野百景図を使ったオリジナルのガイドブックを作れるコーナーや、利き酒STANDと称し、酒蔵が立ち並ぶ津和野の地酒を堪能できるコンテンツなどを整備。
1947年創業の地元に愛されるお茶園「秀翠園」とのコラボなど、
地域観光における情報発信基地的な意味合いである。
このような形で、地域と観光客とのハブ施設として地域活性化に取り組んでいる。
<参考URL>
津和野百景図|百景図一挙紹介|日本遺産 津和野今昔〜百景図を歩く〜
次号では、地域の皆様からの期待や課題なども整理しお話を綴っていきたい。
(生まれは舞鶴市)
事業管掌役員
(ピラティス等)他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる