代表コラム

2023.04.27

<コラム>【一蓮托生】Vol.19 地域活性化モデルへの挑戦③ 

<地域活性化モデルへの挑戦③>
~地域の期待と懸念そして、その先へ~

 

地方創生/地域活性化とは響きが良いが、本当に貢献できている事業者は世の中的に少ないと思う。
前号でも触れたが、観光マーケットのボリュームを拡大することは容易ではない。

 

今回の津和野の事例では、過去20年の観光マーケット減少をどのように回復させるか?
この1点に焦点を絞り、様々な取り組みをスタートしている。

 

津和野町の観光の課題は、日帰り/立ち寄りルートとなっている現状を、どのように宿泊をして頂けるか?である。日帰りでは味わえない津和野に泊まる必然性をどう拡散させるか?

 

例えば、
・当館から徒歩10分程度の場所にある津和野城址からは、季節、天候によるが朝だけ雲海を見ることができる
→この価値をSNSで拡散
・さらに、この雲海を見ながら朝食を召し上がっていただくプログラムを用意
・津和野の郷土料理を現代風にアレンジし、夕食と朝食を提供(ここでしか味わえないメニュー)
・地域で唯一の天然温泉の効能魅力をアピール
・地域では珍しいプライベートサウナ付き客室をアピール
・地元のお茶園、菓子製造、酒蔵とのコラボ企画
・津和野百景図をベースにしたお客様だけのガイドブック作成コーナーなどなど

 

泊まらなければ絶対に体験できないコンテンツを創る取り組みを強化したのである。

 

短期的効果はまだ得られていないが、最近の傾向としてSNSを見た若い女性のお客様が津和野を訪れるようになっているのは大きな変化である。

 

地元の方からの期待が大きい一方、以下の心配点も頂いている

 

・オーバーツーリズムになることが心配
・夜間など騒がしくなってしまわないか?
・治安が悪化してしまうのでは?
・観光業に従事していないのでメリットを感じないなど

 

やはり観光客が増えてくることへの懸念が大半であった。

 

私たちが地域PRすればするほど観光客は増えていく一方、上記のような課題に直面する。
平穏無事な日常生活と、観光地化していくことのジレンマがここにはある。

 

これを決定的に解決する方法はないが、私が思う共通項は、「郷土愛」ではないかと思う。
地域に先祖代々定着している住民やその地に縁のある方々は、当然ながらその地域を愛しておられる。
そしてその方々が「誇れる町に発展していくこと」が共通項ではないかと考える。
これを前提とし、事業を営む私たちもその地を本気で好きになることが必須である。そして観光客にここでしか味わえない体験を提供し、その地を愛して頂くことは十分に可能だと考える。

 

テーマ 「三方よし」 住民、観光客、事業者
共通項 「郷土愛」

 

観光資源や文化を継承し、そしてその地でしか味わえない体験を提供することこそ、私たち観光事業にとってもっとも重要なことではないか?

 

国内の観光事業者は、往々にして地域住民を置き去りにしているケースが多い。その思想がメディアで語られることはほとんどない。観光=アセットファースト(不動産)の所以である。

 

最大の要因は、「思想」があり、「資金力」がある事業者がこの世には極めて少ないこと。
しかしながら、私たちはこの両方を兼ね備えていると自負をしている。
この利点を活かし、郷土愛の醸成そして地域の発展に貢献したい。

 

日々そんなことを考えるのである。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる