代表コラム

2023.07.06

<コラム>【一蓮托生】Vol.24 温泉ホテルチェーンの経営統合に見る未来予想図

~業界再編は進むのか?~
<大江戸温泉と湯快リゾートの経営統合に見る未来予想図>

 

ホテル業は参入障壁が低く、ある意味誰でもホテル経営参入が可能である。(一定の資金は必要)
よって、この参入障壁の低さがインベスターとオペレーターの乱立に繋がり、数年後にはコモディティ化が進み、競争力のない事業者は経営難に陥ってしまう。

 

少し歴史をひも解いていくと、高度経済成長期以降、アクセス至便なリゾート地に大宴会場を備えた大型ホテルが続々と建てられ一世を風靡した。このようなホテルは、団体旅行に特化した設えで主に地域の組合、町内会、会社懇親旅行などの需要に支えられ、過去には活況を帯びた時代があった。

 

しかしながら時代の流れとともに団体旅行は減少し、年々個人旅行へと需要が移行していった。その過程で乱立された地方の大型ホテルは、個人客へのリーチが極めて脆弱で団体旅行からの脱却が出来ず、更には大規模宴会場が足かせとなり、結果として多くのホテルが経営難に陥るようになった。

 

その問題解決として登場してきたのが、湯快リゾート、大江戸温泉等の形態である。この形態は、大型ホテルながら団体客に依存せず、個人向けに1泊2食付き7,800円均一と謳い、そのコスパから比較的時間のある高齢者を中心に平日稼働が向上し、10年ほど前に一世を風靡したことは記憶に新しい。

 

しかしながらこの形態もまた、現在ではコロナ禍も相まってコモディティ化により収益が悪化し、結果、先日大江戸温泉と湯快リゾートの実質統合が発表されたことは業界に衝撃を与えた。

 

今回の実質統合が意味するものは何か自分なりに整理してみた。

 

◆統合によりバックオフィスを1本化することで生産性を向上させる
◆顧客DBを統合化することで、相互乗り入れが可能となり、自社集客比率の増大を期待
◆伊勢志摩で始まったTAOYAの高単価ブランドの育成を通じて利益率改善を期待

 

大きくは上記3点ではないかと考察する。

日本の温泉を身近にしてきた廉価版リゾートスタイルが高単価路線への転換を図ることが出来るかが焦点である。

 

文化の違う企業が真の統合を果たすことが出来るのか、また記事にも記載されていた「星野リゾートに対抗する」という高単価路線への転換の可能性も含め、次号では私見を述べていきたい。

 

次号
<廉価版ホテルからの脱却と転換の道のり> ホテル業における破壊と創造

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる