代表コラム

2023.07.20

<コラム>【一蓮托生】Vol.25 廉価版ホテルからの脱却と転換の道のり

<廉価版ホテルからの脱却と転換の道のり> ホテル業における破壊と創造

 

先にも触れたが、高度経済成長期に建てられた大型リゾートホテルの再活用法として、温泉ホテルチェーンが中高年をターゲットにした廉価版かつ同一価格というわかりやすさをうたい文句に、コストパフォーマンスの良さから多くの顧客層に支持され、一定の役割を果たしたことは紛れもない事実である。
しかしながらこの論理が通用するのは、あくまでデフレ経済下の話であり、現在のインフレ経済(インフレの予兆)では、経営が成り立たなくなってしまうのは自然の摂理であろう。

 

この状況を脱却する方法は、単価を上げること以外勝ち目はない。

 

理由は単純明快。
旧ビジネスモデルでは他のホテルや旅館と比較し、原価率を上げ、1顧客当たりの利益率は下げた分を稼働率でカバーするという構図。結果競争力を確保し利益が確保できていた。
しかしここに課題があるのが既に稼働率は90%以上であるため、さらなるアップサイドは見込みづらい点である。現在はここに各種原価高騰により利益が出ないという構図であろう。

 

さらに大手資本は、資金力を活かし新築での供給が増えるから、更に競争環境は厳しくなる。

 

単に新築が有利な理由は、新しいだけではない。設備やオペレーション導線がすぐれていることである。なんでもそうだが後出しじゃんけんが圧倒的有利なことと同じ理論(笑)

 

さらに熱効率に優れた最新の設備(ファシリティ系)の導入により利益が出しやすい環境である。(20年前の大型エアコンと近年の省エネエアコンとの対比では光熱費1/3程度と言われている)

 

ここに本質があるのだが、故に大手資本や同族経営に拘りながらも業界をリードする星野リゾートも投資家とアライアンスを組むことで、新築にこだわるのはこの理由からである。
(中古ホテル旅館の再建には相当な工数と労力がかかる。さらに永きに渡りそのホテルで働いてきた従業員の方の考え方を変えることが最も困難であるからである→事業承継を避ける傾向)

 

今回の大江戸温泉と湯快リゾートの事実上合併により、星野リゾートに挑むとの方針(記事に掲載)を打ち立てた高単価戦略は果たしてうまくいくのか?

 

業界的に多くは懐疑的にみているだろうが、私は決してそうは見ていない。

 

その理由は、
・20,000円前後のオールインクルーシブは、供給が少なく優位性が確保できる可能性
・同ファンドの資金力を活かし新築に近い改修ができる(大規模改修)
・両社合併によるバックオフィスの共通化だけでなく、共通仕入れによるコストダウンが可能
・バブル期前後に建てられたホテルは、眺望など立地条件に優れている(良い場所にある)
・同族経営ではない為組織力を発揮できる

補足:同族経営の場合、事業承継が実の子供に限られるため、一般的な企業と比較し、経営陣の選択肢が同族のみ→経営手腕の是非/監視/抑止がきかない傾向にある)

 

この2社合併が本当の意味で融合に成功した暁は、その魅力は絶大である。

 

今後期待したいのは、内部の争いではなく、外部環境、外部競合を見据えた「破壊」と「創造」を成し遂げ、この業界の発展の起爆剤となることである。

 

持ち株会社である「GENSENホールディング」のリーダーシップに期待せずにはいられない。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる