代表コラム

2023.08.31

<コラム>【一蓮托生】Vol.28 金利上昇局面がもたらす潜在的リスクと可能性③

~高齢者におけるホテル経営の苦悩~

 

<上場企業との違い>
先日、ユニクロの新社長に44歳の一族以外からの抜擢という報道があった。
地方のホテル経営と世界のユニクロと単純比較はできないが、やはり大きな違いは外部視点と抑止の有無ではないだろうか。上場企業は企業価値向上の観点が最も重視され、常に投資家(株主)の監視を受ける。

一方ホテル旅館の多くは非上場企業であるため、外部視点が欠落しているケースが多いのではないか。一族以外の社長の登用が行われるケースも稀である。

また、一般的に融資元の金融機関が、経営に対する抑止という点において同類化されることがあるが、金融機関はシェアフォルダーではなく、強制力を持ち合わせていない。
強制力が発動されるのは、返済不能に陥った後のため、そのタイミングでは手遅れのケースが多い。

 

同族経営→事業承継が進まない→経営者の高齢化→融資基準の厳格化

 

ざっとこんな流れであろう。

事業承継が進まない同業界において、最もリスクが高いのは経営者の高齢化であることが実情である。

 

<世代間GAP>
また世代間ギャップも、ホテル業界において大きな課題である。
例えば、孫世代の“はやりもの”だとか、テクノロジーなど興味すら沸かないことが多いのと同様に、顧客層の志向性、予約の導線などを理解することは極めて困難なのではないだろうか。にも拘わらず国内のホテル旅館経営者の平均年齢は64歳と高齢化が進んでいるのが実情である。

 

では、なぜ事業承継が進まないのか考えられる要因を整理してみた。

 

<高齢化の要因>
・株主の大半を同族が保有(外部視点の欠如)→事業承継のタイミングが遅れる
・親が有能であるから子供が有能であるとは限らない(苦労の度合いが違う)
・社員、お客様、クライアントとの信頼関係が維持できない(信頼関係構築には時間を要す)

 

このようなことから多くのホテル旅館は、事業承継が進まず、高齢経営者が増加し、結果多くの苦悩を抱えてしまっているのではないだろうか。

 

私は常々、社内(当社)にはスーパースターは必要ないと言い続けてきた。
私も凡人、社員も凡人、しかしその凡人たちが力を合わせ、それぞれの役割を担い、連携と団結を強め、そしてすべての物事を仕組み化し、いわばオーケストラのようなハーモニーを奏でることが出来ると考える。これができるのは上場企業であるが故、常に監視の目にさらされている点が大きい。

 

金利上昇局面において、原価高騰や人出不足が重なり、さらに慢性的なホテル旅館の事業承継問題により、経営者の高齢化=追加融資が得られづらいという負のスパイラルは、看過しがたい業界全体の課題であると見ている。

 

 

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる