代表コラム

2023.09.14

<コラム>【一蓮托生】Vol.29 ホテル業界における同族経営と事業承継の糸口①

~ホテル業界における同族経営と事業承継の糸口①~

 

昨今ニュースでも同族経営があたかも悪であるかのような報道が後を絶たないが、事業(企業)というものの性質上、スタートアップは常に同族経営から始まるものである。
そして世の中から一定支持を受けた企業のみが、成長を遂げていくのである。

 

私は同族経営が悪いとは1ミリも思わない。
企業が成長していく上で創業者の熱い情熱は不可欠であり、世界のトヨタも京セラも日本電産なども創業家が今もなお一定の影響力を保持しているが故、長期に渡り成長を続けている。

 

ここで大切なことは、
企業は成長と共に、社会的責任も比例して高まっていくことを認識できていないケースが多いのではないか?ということである。
時間が経過しながら企業規模の拡大は進んでいくが、一方権力の集中度合いは変わらず、さらにその状況に創業家が気づけていない可能性が高い。

 

長期間成長を遂げている企業は、例外なくしかるべきタイミングで、社会的責任と公共性の重視の観点で、シェアホルダー等に権力の分散を行っている。(外部の視点を活用)

 

ただ残念ながら、国内発祥のホテル旅館の大多数は、株式の所有と経営が一体となっている。
この状況下では、産業としての成長や成熟は見込めない。
同族経営、個人主義、地方の老舗旅館の領域を脱することはできないと考える。

 

この状況が常態化してしまうと以下のようなケースが多くなる傾向がある。

 

<地方のホテル業界によくある事例>
・株主と経営者が同一であるが故、社内外からの助言や抑制が届きづらい→衰退可能性
・1代目が大活躍したのち、苦労を知らない2代目以降から成長が鈍化→衰退可能性
・創業者との差別化を図るために、身の丈以上の投資を行う→衰退の可能性

 

カリスマ経営者の事業承継は、一族以外への承継が望ましいのだろうが、天塩にかけ育ててきた我が子に会社(株式+経営)を継がせたいと思う親心は、自然の摂理なのだろう。

 

株式100%所有を前提として成長を図ろうとすると、金融機関からの借入れに依存せざるを得ない。
ここにも継続的な成長を阻害している危険因子があるとも考えられる。

 

地方の金融機関が、ホテルの経営に口を挟んでも良い結果を生まないと知りながらも、貸し付けた資金の回収を目的にホテル旅館の経営に口を挟むという、ミスマッチが横行している。
私はこれまで金融機関の追加融資や助言でホテルが再生した事例を目にしたことは一度もない。

 

ホテルや旅館がどのように同族経営から脱却できるのか?そしてどのように長期的成長を遂げることができるのか?次号では具体的な解決策を提言していきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
世界に誇る観光都市 京都 
(生まれは舞鶴市)
兄弟 
3人兄弟(末っ子)
現職 
当社代表取締役 兼 親会社/
事業管掌役員
趣味 
ゴルフ、読書、体幹トレーニング
(ピラティス等)他
特技 
早寝早起き
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる