代表コラム
2025.04.17
<コラム>【一蓮托生】Vol.68 万博から見える日本の未来像
先週13日、大阪で55年ぶりとなる万国博覧会が開幕した。
開催までは各報道関係によるネガティブな印象操作が多く、工期が大幅に遅れている、予算超過、前売り券の販売が不調であるなどの報道が多く散見された。しかし、開幕されるとその流れは一変し、開催を歓迎する報道となっていったのはいつものことだろうか?
今回の万博は、並ばない万博を掲げ様々な取り組みがなされており、デジタルを活用した事前予約が特徴のようである。
導入当初の多少の混乱は当然といえば当然で、今後是正されていくだろうが、大切なことは、デジタルを活用した取り組みを実施したことである。顧客の待機時間をいかに短縮できるかは、今後のサービス業には不可欠である。
開催期間中、大阪府や政府は2兆円の経済効果があると豪語しているが、それは関西エリアに限った話で、全国的に見れば経済効果は乏しいように感じてしまう。
また、
観光視点で言えば、開催期間中は関西エリア(大阪、神戸、京都)の宿泊を伴う需要は拡大するが、一方その後の反動需要減が極めて心配である。
過去東京オリンピックは無観客開催ゆえ左程影響はなかったが、この種の催しは、実は宿泊事業者にとってはやや有難迷惑でもある。
理由としては、
「自然の摂理や流れを大きく変えてしまう」点にある。
具体的には、一時的な特需は一見良いように見えるが、その開催期間中は運営体制を整備しなければならない一方、開催期間が終わると、大きな需要減少により、運営体制を大幅に変更せざるを得ない。人間の体で言えば、体重を意図的に増やした後、ダイエットをしなければならないようなもので、このダイエット期間中の方がしんどいのである。
チェーンホテルなどは、人員を他館に振り替えることができるが、小規模事業者にとってこのような需要の大きな波への対応は非常に難しい。
万博関係者は、開催することに意義があり、地域経済の活性化に繋がると自慢げに話すが、事業者にとっては意外とそうではないのかもしれない。
観光的需要喚起という観点で言えば、期間限定の“催し”はもう時代錯誤なのかもしれない。
国や地方が中心となり行う、災害後の地域支援的な旅行キャンペーン施策なども同様である。
当然、万博は決して観光需要増加を目的にしたものではなく、「国際交流」や「文化発信」、「技術革新の推進」などが主目的であるが、あくまで観光事業者としての視点ではこのような思想にならざるを得ない。
観光産業にとって、大抵、国や自治体が介在(助成等)しても良いことはあまりない。
何かあったら御上に助けを求めているようでは、事業者の自主性は失われ、地方活性化は程遠い。
例えば、
石破総理が、「地方創生」を政策として掲げ、地方に補助金をばら撒こうとしているが、本当に必要な「地方創生」とは、東京一極集中の是正であり、その一丁目一番地が中央省庁の地方移転である。
(福岡、広島、大阪、愛知(名古屋)、宮城(仙台)、北海道などへ)
このような大胆な政策転換は、現在の政府には恐らく不可能であるが、少なくとも国や地方が主催する“催し”や、バラまき型施策は、結果地方の自主自立を奪っていることに気づいてほしい。
私の願いは、自然の摂理で切磋琢磨し、本当の意味で地方が自立していくことである。
(生まれは舞鶴市)
他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる
