代表コラム

2025.07.10

<コラム>【一蓮托生】Vol.74 気候変動と観光産業の未来③

現在、参議院選挙も始まり様々な意味で“暑い”日本列島となっている。

 

天候に限って言えば、
東日本は梅雨明け前ながら連日の猛暑が1か月も継続しており、異常ともいえる高温に日本列島がさらされている。

これも温暖化の兆候なのだろうか?

 

現在当社グループのホテルは避暑地や海水浴近郊、プール付きの施設が前年に対比し大きく伸びている。

 

今回は少し面白いリブランド事例をご紹介したい。
今年5月に開業したペットフレンドリー施設「ゆるり奥日光with DOGS」である。

 

<ゆるり奥日光 HP>
ゆるり奥日光with DOGS | 愛犬と過ごす 和のぬくもり旅

 

当該施設は、従前は修学旅行向けに運営をしていたが、コロナ期間中に修学旅行の催行激減など大きな影響を受け、

軌道修正をせざるをえない状況に追い込まれた。

 

これらの課題や今後長期的に競争力を保てる戦略を前提とし、昨年末リブランドを行うことを決断した。
そして、約5か月間のリニューアル休館を経て今春開業する運びとなった。

 

その理由や狙いとしては

 

<リブランド構想> 差別化戦略&将来の気候変動を加味

 

・同エリアは修学旅行のメッカであるためペットフレンドリー施設が皆無である。
→競合ホテルから模倣されづらい=長期的なポジショニングが築ける

・奥日光エリアは都心と気温が約10℃違い、都内が35℃でも25℃程度と避暑地としての優位性がある。
(ペット体温は通常38℃から40℃程度とされており、人間よりさらに暑さに弱い生き物である)

・施設から徒歩3分の立地に「湯ノ湖」という神秘的な湖があり、ペット同伴者には魅力的な観光資源である。

 

結果、リブランドオープン施設は私の想定を上回り、今夏の予約は好調に推移している。

 

このような気候変動による温暖化で、涼を求めペット愛好家へのニーズが合致した可能性が高い。
恐らく当該施設は、中長期にわたりお客様から支持をいただける可能性が高いと見ている。
(この猛暑中にペットと奥日光に訪れた方は、必ず来年以降もリピートいただけるであろう)

 

今回のリブランドで私たちが踏まえたのは、気候変動=温暖化を想定した対策であった。
夏は今後も更に暑くなり、冬は徐々に寒冷地ではなくなる可能性(通年営業が可能など)がある。

 

すでに箱根や軽井沢は避暑地とはいいがたい気候であり、当社施設で今夏の人気エリアは、群馬県嬬恋村にある北軽井沢や、栃木県の那須高原である。(逆に箱根は1月2月の売上は右肩上がり)

 

今後、宿泊施設の経営では、一定の「気候変動」を想定しておかねばならない。
国内で施設価値を維持向上していく上で、温暖化は避けて通れない事象だからである。

 

この事象をどう逆手にとり、地域活性化とリブランドを図れるかが重要となるであろう。

 

リブランドにおけるキーワードは、

気候変動  ×  差別化戦略  ×  コンテンツ力 = 模倣されづらいポジショニング

 

これらの事象や要素を踏まえ、長期視点での施設価値向上を進めていくことが大切だと考える。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる