代表コラム

2025.09.04

<コラム>【一蓮托生】Vol.77 地方観光における人手不足の実態②

国内観光の長期的繁栄について考えていくが、ホテル旅館と農業は現状の課題感が近い印象がある。

 

<ホテル旅館と農業における共通点>
・個人経営が多い
・価格の値上げが必要ながら、中々値上げできない
・国内需要と海外需要との狭間で揺れている
・担い手不足が課題
・大規模投資や大手法人の参入が少ない

 

先にも触れたが、最近ホテル旅館の無償譲渡の相談が増えている。
農業においても後継者不足などで、耕作地の放棄や実質無償で田畑の耕作を依頼するケースも増えているという。

この事象はまさに観光産業との相似を感じさせる。

 

ホテル旅館において私共も支援を行いたいが、実行に移すにあたりいくつかの障壁がある。

 

<参入障壁>
・建物の順法性が担保されておらず手が出しづらい(大手資本ほどその傾向がある)
・施設の老朽化が激しく、顧客の安全性を担保するに至らない
・借入金が大きく、金融機関の債権カットなどにも消極的
・同エリアに一律料金かつ廉価版のホテル参入により、エリア全体の価値が低下

 

さらに最も苦慮するのが、ホテル旅館の運営に関わる担い手不足である。
東京などの主要都市部は人口流入により、人的資本の活用は比較的容易であるが、地方の温泉地などは人口減少、高齢化などが起因し担い手不足の進行が止まらない。

 

この問題をどう解決するか?

 

1つは派遣社員などを活用した人財登用、
タイミーなどの隙間バイト(以下、スキマバイト)を活用した人財登用、
特定技能制度を活用した人財登用等があげられる。

 

 

<社員以外の人財登用(種別)>

 

即効性 勤務期間 変動費等のコスト
派遣社員 〇比較的容易に確保 △3か月~半年程度 ×(高額)
スキマバイト ◎短時間なら即日OK △1日(リピート有) △(勤務形態による)
特定技能 △実働まで半年程度 ◎基本5年(更新有) 〇(上記比較で安価)

 

 

いずれも一長一短に見えるが、長期視点で見た場合、特定技能制度が効果的な手段である。
それでも足りない部分はスキマバイトなどの人材を迎えることも可能である。

 

次号では特定技能制度の概要及び期待と課題について論じてみたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる