代表コラム
2025.10.16
<コラム>【一蓮托生】Vol.80 サスティナブル・ツーリズムの動向と今後の可能性②
<サスティナブルツーリズムの国内事例と長期繁栄>
サスティナブルツーリズムにおいて、国内で成功したと言われている事例を紹介したい。
1. 群馬県みなかみ町
みなかみ町と言えば決して都心からのアクセスが良いわけではなく、観光地としてはさほどメジャーではないが、サスティナブルツーリズムをいち早く取り入れ、注目を浴びている。具体的には、町の約9割が森林という自然資源を活かした「エコツーリズム」としてラフティングやトレッキングなど地元ガイドによる自然探訪ツアーをPRし、体験型のツーリズムとしての地位を確立。その結果、ユネスコエコパークに登録(2017年)、SDGs未来都市に選定(2019年)されている。
<みなかみ町観光協会HP>
みなかみ町観光協会 みなかみパーフェクトガイド メイン
2.埼玉県飯能市
一般的に観光地として飯能をイメージする方は少ない。温泉地でもなく、有名な観光名所も想像の範囲では思い浮かばないが、森林環境を活かした里山ツーリズムで年々訪れる観光客が増加している。具体的には、森林セラピー、薪割り体験、廃校を活用した宿泊施設など、今あるものを活かした取り組みや地域資源を活用した雇用創出の両立をなし得た地域として注目を浴びている。
<飯能市観光協会HP>
はんのう。いい塩梅。- 奥むさし飯能観光協会|埼玉県飯能市の観光情報サイト
3.徳島県神山町
徳島県神山町と聞いてどこかイメージできる方は多くないと思うが、神山町のツーリズムの取り組みがとても興味深く今注目を浴びている。テーマはアートとITを融合した地域再生型のツーリズムである。具体的には、企業のサテライトオフィス誘致や、作家などの芸術家が長期滞在できるアーティスト・イン・レジデンスなどの領域を積極的に推進している。
<神山町役場HP>
神山を知る・楽しむ | 神山町役場
これら何れも、立地的に優位性がない中で、自然を生かした観光資源をエコツーリズムとして全面に押し出すことで、消費から体験型を創り上げている好事例と言えるだろう。
本来観光は、政府や自治体主導の催し(関西万博等)においては、短期的かつ一過性の取り組みがあるが
一過性の兆候は観光振興と位置付けるべきではない。
現に万博終了後の大阪エリアの観光マーケットにおいて、ADRは半減しているという。大阪周辺は、このカンフル剤が切れた後の後遺症に数年間苦しめられる可能性が高いと推測する。
中長期視点でのマーケット形成、地域の特産や自然を生かした観光ツーリズムが、本来の国内観光にあるべきと考えるのがサスティナブルツーリズムの原点である。
地域に根差したサスティナブルツーリズムこそが、
地域活性化や地方人口減少に歯止めをかける可能性を秘めている。
(生まれは舞鶴市)
他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる
