代表コラム

2026.01.08

<コラム>【一蓮托生】Vol.85 地政学リスクから見る観光産業の未来予想図③

前号でも触れたが地方の街並みを維持しつつ、その地域経済を活性化できる1つの方法として、分散型ホテルの思想が面白いと感じている。
国内ではあまり認知度はないが、世界では街並み全体がホテルとして発展している事例がある。

例えばイタリアのアルベルゴ・ディフーゾである。

 

この概念は、
地域に散らばっている空き家を活用し建物単体ではなく、地域一体を点在型ホテルとするイタリア発祥の分散型ホテルの総称であり、
以下はアルベルゴ・ディフーゾの条件とされている事項である。

 

■経営形態 ひとつの事業者が、一括して経営・管理していること
■ホスピタリティのクオリティ プロフェッショナルで心のこもったサービスであること/特に宿泊形態において
■建物と地域の規定 既存の建物を再利用したものであること。またそれが以前から人が暮らしてきた村や町に存在していること
■施設 飲食サービスを伴う食事処、レセプション、共同スペース、喫茶やバーコーナーなどの施設が設けられていること
■建物間の距離 建物間は宿泊客の移動が負担にならない距離にあること。レセプションのある母屋と別棟との距離は200m以内を目安とする
■地域 活気あるコミュニティづくりに寄与すべき存在であること。町にせよ集落にせよ無人であってはならない
■環境 ありのままの環境があること。直面する現実と、地域の文化が融合していること
■認識性 はっきりとしたアイデンティティと、提供サービスの質がいつも安定していること
■地域性 地域や地域文化と一体化した経営であること
■連帯感 アルベルゴ・ディフーゾとしての誇りと、アルベルゴ・ディフーゾ同士の連帯意識を持って活動すること

 

アルベルゴ・ディフーゾ 分散型ホテル | 【公式】アルベルゴ・ディフーゾインターナショナル極東支部(日本・アジア公式認証機関)

 

現在の国内のホテルや旅館は集合体かつ新築主義である。
また、大手は海外ブランドをマネジメントコントラクトでブランドを形成する、あまり芸のない手法であふれている。

 

一方この分散型ホテルは、既存の歴史的建造物を活かし、現代風にアレンジし、順法性を担保したうえで、利用者の安心安全を土台としたリゾートステイを実現できる発想であり、この発想は当社の基本思想=あるものを活かす=地域を丸ごと活性化するという考えにも合致する。

 

これからの日本は2050年までに国内人口は1億人を割り込み9,500万人となる推計が発表されている。都市部は人口減少幅が小さく、東京は人口が増加、一方最も人口減少の影響があるのが地方である。

 

この地方において、私たちが提唱する分散型ホテルを増やしていくことができると期待している。そのためにはどうしても自治体や役所の理解や後押しが欠かせない。

 

 

課題になるのは、古い建物を活用するためその安全性をどう担保するかである。

 

1つの法令として、建築確認、検査済証、耐震補強などは利用者の安全確保には必須である一方、昭和50年代以前に建築された物件は、当時は検査済証が必須ではなかったことから、現在の建築基準法に即した順法性が担保されていないものがほとんどである。

 

現在古民家を活用した宿泊施設はほとんどがこの種である。(ここが大きな課題)

 

中小規模の事業者はこの種の安全性の理解度が低い=利用者の安全性確保に課題がある。

 

利用者の安全と街並みの活性化は両立されなければならない。
昨年末に起きたスキー場のリフト乗り場での痛ましい事故、

さらにサウナ火災による痛ましい事故も同様である。

 

時代は変わり、その安全性をどう担保したうえで分散型ホテルを展開するのか?
この課題は、利用者の安全面を担保できる法令や定期検査の義務化なども重要となる。
この安全という土台が整えばさらにこの分散型ホテルが日本国内で展開されていくであろう。

 

次号では、具体的な手法や課題などについても触れていきたい。

■プロフィール■
氏名 
田村佳克 1973年生まれ
出身地 
京都府
(生まれは舞鶴市)
趣味 
ゴルフ、RUN、読書、ピラティス
 他
特技・特徴
早寝早起き ・ 体の柔軟性
座右の銘 
群軽折軸(ぐんけいせつじく)

※小さな力でも数が集まれば大義を為せる