代表コラム
2026.08.27
<コラム>【一蓮托生】Vol.96 タイムシェア別荘の歴史と現在地~リセールバリューの落とし穴~
前回はシェア別荘の歴史について触れたが、今号ではシェア別荘のリセールバリューと持続可能性について考察していきたい。
先に結論から申し上げると、シェア別荘などの会員権の類を扱う事業者で、現在まで残っているのは残念ながら上場企業に限られている。(これは歴史が物語っている。)
具体的にはリゾートトラスト、東急不動産、そしてリログループの3社である。
最も有名なのが、リゾートトラスト社の「エクシブ」で、1973年から現在まで約53年間事業を発展させてきた。東急不動産が展開する「東急ハーベストクラブ」は1988年から現在まで約38年間事業を継続している。そして当社の「ポイントバケーション」は2000年から現在まで約26年間の歴史を刻んでいる。
私も2000年の事業開始からリログループのリゾート事業に関わってきたため、上記以外にも多くの会員権事業者が現れ、やがて姿を消していく歴史をいやというほど見てきた。そして、最後に不利益を被るのはいつの時代も購入者(消費者)であったことも忘れてはならない。
この歴史が物語るのは、シェア別荘を運営する企業の持続可能性こそ、最も重視すべきだということである。
建物のデザイン性や一時的な高揚感、あるいはリセールバリューだけで購入の是非を判断するのは危険であり、もし購入を決断した場合でも、投資金額の範囲内でのリスクを許容しておくべきである。
バブル期の投機と崩壊を経て、シェア別荘(会員権)は「所有」から「利用」へと変貌していった。
会員制リゾート(タイムシェア)が「投資」として本当に成り立った事例は、世界的に見てもかなり限定的である。歴史を追うと、むしろ「投機で暴落した失敗例」の方が圧倒的に多く、その中で例外的に資産性を維持できたケースには共通の条件が見えてくる。
こうした歴史を経て、業界の性格自体も変わっていった。2000年以前の投機目的から、実需目的(「使う分だけ別荘を所有する」)へと、市場のコンセプトが大きくシフトしたのである。
資産として機能した事例に共通する条件
歴史的な事例を並べると、「投資として成り立った」ケースには、おおむね次の共通点がある。
1.供給規律の維持 ── 運営会社が乱発的に会員権を売らず、稀少性を管理していること(DVCのROFR、エクシブのグレード制など)
2.ブランド力による恒常的な新規需要 ── 中古市場に絶えず買い手が現れる基盤があること
3.運営会社自体の財務健全性と長期存続 ── 倒産すれば権利はゼロになるため、事業体としての信用力が資産価値の前提となること
4.効用の多様化 ── 単なる宿泊権ではなく、ゴルフ・医療・テーマパーク特典など複合的なサービスで会員の定着率を高めていること
一方で、バブル崩壊期の日本や米国の大半のタイムシェアが示す通り、これらの条件を欠いた会員制リゾートは「消費財(嗜好品としての利用権)」であって、資産・投資対象としては機能しないというのが、歴史が示す基本則である。
エクシブやDVCの「成功」も、資産価値そのものを目的化した結果というより、ブランド運営とサービス品質を長期的に維持した副産物として、結果的に流動性・資産性が保たれた、と捉えるのが実態に近いと思われる。
最後に、様々な余暇の在り方が世に出回り、人類にとってかけがえのない余暇の時間が増えていくことを願って止まない。その前提条件こそが、持続可能性ではないだろうか。
(生まれは舞鶴市)
他
※小さな力でも数が集まれば大義を為せる
