SDGs活動報告ブログ

2022.11.10

「だんらん賢島」再生ストーリー

第二の再生が続く「だんらん賢島」

 

三重県伊勢志摩エリアの有人島である「賢島」。
複雑に入り組んだリアス式海岸に浮かぶこの島は、近鉄志摩線の終点にあり「伊勢志摩サミット」の舞台となったことでもその名が知られています。
駅から徒歩で約15分、豊かな自然に囲まれたこの地に2022年3月25日、会員制リゾート事業施設「だんらん賢島」はオープンしました。

 


「だんらん賢島」は元々企業の保養所でしたが遊休資産となり長い間使用されずにいました。
施設は老朽化しているものの予算も限られており、どのように再生すべきが悩んでいた当社は2020年、まずは「ポイントバケーション賢島」として施設をオープンすることとなりました。
景勝地であるこのエリアは、遊覧船などもあり、伊勢神宮までも車で約1時間と観光もリゾートステイも愉しめる場所でした。

 

 

・最初の再生は…

「さて、どこから手をつけようか…」
保養所時代の設備はお世辞にも決して整っているとは言い難く、お部屋にはトイレもお風呂もありませんでした。いくら良い立地にあるとはいえ、最低限の設備が整っていないと会員様に足を運んでいただくにはどうしてもハードルが高くなります。
最低限、全室にトイレを設置することは決めたものの、それでもまだまだ設備面は乏しく、客室にケトルを置くとブレーカーが落ちる有り様…
こんな状態で果たして会員様に足を運んでいただけるのだろうか。
最初の再生は先が見えず手探り状態が続きました。

 

頭を悩ませながらも、敷地内にはドッグランがあったことから3室限定で愛犬も同伴いただけるお部屋を設置し、まずは“わんちゃんと泊まれる宿”という付加価値を付けてスタートしました。

景勝地であり、ワンちゃん連れの方にも楽しんで頂けるかと思いきや、当社には【わん‘sLAND】という愛犬同伴専用施設が別にあり、その中で「ポイントバケーション賢島」が人気施設となるには道のりは険しい状況でした。

 

稼働は思わしくなく、施設は完全に行き詰まった状態となったのです。

 

そして追い打ちをかけるように新型コロナウィルスが蔓延-。
思ってもみない未曾有の状況に事態は混乱を極め、人々の足はますます遠のいていきました。

 

 

・続くコロナ禍、薄れる人と人との繋がり

「外出は控えて」「共有スペースでの会話も控えめに」
施設に泊まりにくること自体はもちろんのこと、折角泊まりに来ても大浴場では黙浴、食事の席では黙食と感染拡大を抑えるためとはいえ、窮屈な日々が続きます。
そして会員様同士のコミュニケーションの機会も徐々に奪われていってしまったのです。

 

そんな中、徐々にこんな声をよく耳にするようになります。
「もっと会員同士が交流できる機会があればいいんだけどな」
「会員同士でちょっと語り合ってみたいな」

 

その言葉を受け、ハッと気付いたのです。

ポイントバケーション賢島を“人々が集まり語り合えるような施設”にするのはどうだろうか!

 

施設をどうにか再生させようと頭を悩ませていた時、ずっと構想にあった北欧の“ヒュッゲ”。
それは、「人と人同士が繋がることができて居心地がよい場所、そこで楽しい時間を過ごす」こと。
人と人との繋がりが薄れてしまっている今だからこそ、賢島の施設を自然と人が集まり楽しく過ごせる場所にしよう!

 

私たちはただ“宿泊する場所”を提供するのではなく、会員様同士がわいわいと楽しみながら一期一会のひとときを過ごす、そのような場所や“機会”を提供することこそが私たちが本来なすべきことなのだと改めて気付かされたのです。

 

それはホテルでもない、コンドミニアムでもない、会員制リゾートだからこそできること。
そこで施設の第二の再生に向けて「賢島リニューアルプロジェクト」がスタートしました。

 

 

・テーマは「人と人との繋がり」

リニューアルは決まったものの、予算は決まっておりあまり費用はかけられません。
出来る限りあるものを活用し、再生に挑みます。

 

施設は元々保養所であったため、使われていない大きな厨房とダイニングがありました。

「ここをみんなで料理を楽しめるようなキッチンにするのはどうだろう」
「お料理教室もできるし、デリバリーシェフを呼んだりするのもいいかも!」

「みんなで集まって語れるラウンジは必須じゃない?」
「ライブラリがあれば自然とそこに人が集まるかも…」
次々とアイディアが出てきます。

 

どんな造りにしたら喜んで貰えるだろう、居心地の良い場所にするにはどんな家具や備品にすればいいだろう、プロジェクト担当者は実際に現地に足を運びイメージを描き、それをかたちにしていきます。

 

「会員様はお年を召した方が多いから、家具は簡単に移動できるような軽めのものにしよう」
デザインだけでなく、過ごしやすさや利便性も考慮した上で選定が進みます。

 

来るオープンの日に向け、幾度となく打ち合わせを行い準備は着々と進んでいったのです。

 

そして―

2022年3月25日、会員様同士が別荘を通して交流を深められる「だんらん賢島」は遂にオープンしました。

・大人数でも使いやすい【みんなのキッチン】
・暖炉を囲みながら会話や映画を楽しめる新たな憩いのスペース【だんラウンジ】
・ひとりでも誰かと一緒でもほっとする時間を過ごせる【みんなのらいぶらり】

 

全て人と人とがつながることを重視したリニューアルを施しました。
これは、会員制リゾート事業のテーマである“大切な人との素晴らしい時間を増やす”ことにも繋がる、とても大きな意義のあるリニューアルでした。

 

オープニングイベントも開催され、話は大いに盛り上がり
会員様からは「これだよ、これこれ!こういうのを待ってたんだよ」という嬉しいお言葉もいただき、好調な滑り出しとなりました。

 

現在は、会員様同士の交流がさらに深まるよう、「スイカ割り」や「ゴルフデー」「お酒講座」など季節や趣味をテーマとしたイベントを企画、毎月開催を予定しています。

 

「だんらん賢島」は今までにない、新しい形の施設です。

 

リニューアルなんて費用をかけて建て直せばいいのに、そう思う人もいるかもしれません。
しかし、元々あるものを活用し、テーマを掲げ、ハードではなくソフト面から魅力ある施設を造ること。資源を無駄にせず、有効活用した上で人々に足を運んでもらい、地域全体を盛り上げること、それが私たちの使命なのです。

 

今回のリニューアルで再生が完了したかといえば、そうではありません。
まだまだ再生途中であり、多くの会員様に足を運んでいただき、長く愛され、地域の活性化へと繋がるようこれからも私たちは地域とともに歩みを進めてまいります。